一通り「昔からのお気に入り」の戦車、軍用車輌が揃ってきた感のある我がコレクション。タイガー系やパンサー系の強力な大砲を装備した人気のある戦車の陰で地味に活躍した戦車に目が移ってきた。と言っても元々そんなにメジャーな戦車が好きという訳ではなく、どちらかと言えばこうした名脇役に目が行ってしまう私ではあるのだが・・・。今回のネタは3号戦車L型。横文字で書くとなんとも複雑な文字列だが、要は3号戦車L型である。3号戦車はさまざまにモデルチェンジを重ね、A型から始まり、最終的にはM型まであるそうだ。その中でもそれぞれにいくつかのバリエーションが存在する機種もあり、その数は膨大となる。中でもJ型以降の車輌はフレームの構造も新設計となり、現代で言うフルモデルチェンジ版ということになる。L型はタイガー1型の活躍の脇で地味に活躍した戦車だ。第2次大戦中盤まで生産され、以前レポートした3号突撃砲のシャーシーにも用いられたフレームを持つ戦車である。よって、3号戦車L型と3号突撃砲B型は同じシャーシーである。スズキの軽自動車のようだ。
「箱」らしい車体を持つ3号戦車はその形状から被弾すると防盾が分厚くても弾に対して垂直に当たるのでダメージが大きい。そこでさまざまな装甲板を後付けした車輌が多く見られる。このL型も操縦室、機銃等の前面装甲板、主砲の防盾等を追加で取り付けてある。防御力の強化によって重量は重くなっているが、その分、エンジンもパワーアップが図られたそうだ。第2次大戦序盤当時のドイツ軍ではタイガー系戦車はまだまだ生産が開始されたばかりで実戦配備されている車輌はごくわずかだった。主力はまだ3号戦車であり、ヨーロッパ、アフリカ戦線等各地の最前線で活躍していた。しかし、ソビエト侵攻にあたり、ソビエト軍の巨大戦車との激しい攻防において3号戦車の5Cm砲は無力で、劣勢に立たされてしまう。これによってタイガー系戦車の開発が急がれたのだ。つまり、タイガー系戦車を生産することになったのはソビエト軍の強力な戦車の登場と、この3号戦車の威力の弱さが主な理由だったのだ。
こういう話しを聞くとなんだか益々この3号戦車の魅力が際立ってくる。「無力」とか「弱い」と聞くとそういう車輌にとても惹かれてしまう。が、この3号戦車L型の5Cm砲は決して弱い武器ではない。米軍のシャーマン等に対しては1km程度の射程距離で撃破できるだけの威力があるのだ。それだけの強力な砲が無力になる程の分厚い装甲を持つ敵戦車が登場したということだ。さて、この3号戦車L型。シャーシーは前述の通り、3号突撃砲B型と共通である。適度なサイズでとてもコンパクトに出来ていて好感が持てる。タイガー系よりひと回り小さいシャーシーで全高も低く抑えられているのが良い。この低い車高は3号系車輌の特徴の1つだ。追加装甲板等のディテールも小スケールながらとてもリアルに出来ている。各パーツの合いもバッチリでサクサク組み立てられる。私は主に流し込みタイプの接着剤を使用しているが、これが一段と仕上がりを美しく見せてくれている。
リア周り。3号突撃砲と同じようにワイヤーロープが装備されている。今回、ボディーカラーはジャーマングレーかダークイエローか悩んだのだが、突撃砲でジャーマングレーだったので、同じシャーシーでダークイエローだとまた違ったイメージの車輌になるかと思い、ダークイエローを選んだ。そこでワイヤーロープも突撃砲の時より少し明るめの色にした。汚しも程ほどにしてとにかくダークイエローが映えるように仕上げてみた。以前、製作したタイガー1と並べると実に強力なイエロー軍団になる。アフリカ戦線の砂漠での侵攻が再現できるのだ。この3号戦車の特徴の1つとして予備転輪が装備されている点がある。車体左側に2個配置されていて見た目のアクセントになっている。
前周り。予備キャタピラは前面装甲板に貼り付けられ、予備キャタピラも装甲板の代わりになっている。合理的と言えば合理的だが、イザという時に破損していたら予備の役目は果たせない。何両もの車輌での行軍をイメージして前を走る車輌の跳ね上げる砂や小石による塗装の剥げやサビを前面に集中して再現してあり、過酷な環境での行軍であることを感じさせてくれる。単独行動のほとんど無い車輌だけにこういう「汚し」によって中隊、小隊のチームワークが再現できるのだ。とくに軍規の厳しいドイツ軍では一層効果的である。まるでアリの行列のごとくゾロゾロと侵攻する姿はさぞ圧巻だったことだろう。ところでこの3号戦車L型、第10戦車師団の車輌を選んだのだが、ドイツ軍の「鉄十字」マークがリアに1つだけしか無い。通常、どの戦車でも左右側面にもあるハズなのだが、この部隊の車輌はリアだけだ。何か理由があるのだろうか・・・。
この1/48 MMシリーズもだいぶ数が増えてきた。これまでに紹介した車輌はけっこうな数だ。まだまだ新作が続々と登場しているシリーズだけに今後、益々魅力的な車輌が登場するだろう。その度に私は心ときめかせて購入し、製作していくのだろうか。個人的にはもっとマイナーな車輌がたくさん登場してくれると面白いんだが。4輪の偵察車輌や第2次大戦初期のいわゆる「豆戦車」等とても面白いと思う。1/35スケールとかわらないくらいのラインナップになってくれるととても良い。じっくりと作る1/35に対して気軽に作れる1/48。どちらも同じくらいのラインナップだったら初心者も上級者も購入しやすいというもんだ。海外のメーカーの参入に押され気味の模型市場ではあるが、ここは1つ、世界のタミヤにひとはだ脱いでいただいて同シリーズのさらなる発展を期待したい。
今回は主役にこそなれなかったが、重要な役どころといった名脇役的戦車を紹介した。こんな高性能な戦車が脇役であることがドイツの技術力の高さを物語っている。この3号戦車を当時の日本帝国陸軍に提供してくれていたら南方の島々での陸戦の戦況は激変していたかもしれない。日本はあの戦いで勝利してはいけなかったのかもしれないが、そのようなこともこの3号戦車があれば可能だったのかもしれない。そんな高性能な戦車なのだ。
(2007.07.14)
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