Tamiya 1/48 MMV British Universal Carrier
Mk.2
小さなフォルクスワーゲン タイプ82Eの後には巨大なヤークトパンサー。そして今回はまたしても小さな小さな車輌だ。全長だけで言うならば、そのフォルクスワーゲン タイプ82Eよりもさらに5mm程短い。全長わずか80mmのこの車輌はその小さいサイズの中に見所が満載された車輌である。愛称「ブレンガン・キャリアー」。トイガン、プラモデルを通じて初の大英帝国モノである。これだけ「007」シリーズを好んで見ている私であっても英国の銃や武器はほとんど扱ったことがない。というかあまり製品化されていないとも言う。プラモデルに関しては戦闘機や戦艦をはじめ、各メーカーからさまざまな機種が発売されている。陸戦モノではタミヤから1/35スケールの製品がいくつか発売されているが、私にはあまり魅力的には見えなかったのが正直なところである。が、今回、なぜその魅力的に思えなかった英国軍の車輌を選んだのか。どちらかといえば気になった車輌がたまたま英国軍の車輌だったというのが本当のところである。

小型で戦闘車輌ではなく、武器や物資の運搬や偵察等を主任務とするこのブレンガン・キャリアーは実物では全長3.7mと軽自動車よりちょっと長い程度。軍事車輌としてはとても小さい車輌である。そんな小さな車体に搭載されたエンジンはフォード製のV8エンジンというからスゴい。まぁ、小さくても装甲板等の重量も相当なものなので、このくらいのエンジンを載せておかないとそれなりの機動力にはならないのだろう。そして車室内、荷室内ともに屋根は無い。とても開放的な乗り物である。ご覧の通り、車内がとてもよく見える。その分、細かい部分までしっかりと作り込まなければならない。小さいパーツもあるが、このシリーズ全般に言えることだがとても組み立てやすいので安心だ。画像では左側面装甲板の内側にトンプソンM1A1サブマシンガンが装備されているのが解かる。また、荷室中央のエンジンフード上にはM1ガーランドが2挺備え付けてある。また、弾薬箱や無線機等の装備品を多数載せている。

乗員の英兵2名はキットに付属しているもの。立ち姿の方は本来、乗せるモノではないのだが、飾るスペース等のもろもろの諸事情から乗せておいた。太もも部分に車輌に搭載されているブレン機関銃のストックがあるので立たせやすい。ちなみにブレンガン・キャリアーという愛称はこのブレン機関銃を装備したユニバーサル・キャリアーというところから付いた愛称だそうだ。この愛称が浸透していくうちに、このブレン機関銃が搭載されていないタイプまでもがすべてブレンガン・キャリアーと呼ばれるようになったという。話しを戻して英兵2名は1/48スケールということもあり、塗装はとても細かい作業となった。フォルクスワーゲン タイプ82Eでも運転手であるドイツ軍将校を仕上げたが、今回はガラスに囲まれた状態ではなく、剥き出しの状態で見えることになる。多少でも荒さが出ればそのまま仕上がりを左右してしまう。そのあたりを注意しながら作業をすすめた。とくに運転手は一見目立たないが、姿勢が不自然になりがちなので、しっかりとハンドルを操作しているように座らせることを注意した。

シートは全部で3席ある。運転席、助手席(機銃操手席)と荷室に1席だ。製作していると解かるが、助手席が一番広く、居住性が良い。運転席のハンドルは運転手が抱え込むように操作しなければならない程近い。そして地面と平行に突き出している。まるで船の舵取りでもしているようだ。この姿勢で運転するのはさぞかし疲れたことだろうと想像が付く。画像の2名の間では、助「見えたぞ。あそこだ。」運「えらそうに突っ立ってないでたまには代われや!!」助「俺は下士官だ。指揮する立場にあるのだ。」運「うるせー。グダグダ言ってねーでたまにゃあこっち座ってみろってんだ。バカタレが。」なんて会話が聞こえてきそうだ。激しい戦闘シーンにはこのブレンガン・キャリアーはあまり似合わない。静かな膠着状態にある戦地で地味に見回り、警戒にあたる姿がよく似合う。また、物資を前戦本部に届けるためにトコトコと走り続ける姿が想像できる。

リア周り。牽引フックの下には車載工具一式が備え付けられている。また、そのフックの上には幌等がたたまれていてどこか和やかな印象だ。良く言えば英国気質、悪く言えばのん気という雰囲気だ。キャタピラもとても細い。キットでは転輪と一体成型で1つのパーツになっており、これまでの連結式とは趣きがちょっと違う。これだけ細いキャタピラを連結式にされても作る側も戸惑ってしまうが、転輪は別パーツでも良さそうだが・・・。おかげで塗装時は塗り分けのマスキングがとても細かい作業になってしまった。ちなみにこのブレンガン・キャリアーはダイキャスト製シャーシーではない。すべてプラ製である。したがって軽い。フォルクスワーゲン タイプ82Eと同様である。しかしディテールは申し分無いクオリティであり、箱型の車体の各パネルの合いもバッチリである。これだけ小さなキットでありながらこのクオリティだ。さすがタミヤである。毎回言っているが・・・。

フロント周り。予備の転輪とワイヤーロープが「運ぶクルマ」を主張している。転輪の脇のフェンダーパネル上には小さなタンクが乗っている。ここには付属のデカールを貼り付けるのだが、「WATER」の文字。水のタンクだ。クルマ屋をやっているとどうしても冷却水のことなのかと思ってしまうが、飲料水なのかは不明。そのタンクの上にはサイドミラーが突っ立っている。何の飾り気も無い垂直に立ち上がるミラーだ。ちなみに反対側にミラーは無い。そのミラーの後方、荷室の内壁に目をやると、ブレン機関銃が装備されているのがわずかに見える。フロントに搭載の同銃の予備としても、兵士が持つ機関銃としても機能する。荷室の小物の配置は自由に配置せよと説明書には書かれているが、一応、説明書のイラスト通りに配置し、弾薬箱が1つ余るのでそれも置いてみた。ようするにキットに付属する装備品は満載状態だ。私個人的な希望では食料や医薬品、毛布や担架等兵士たちの武器以外の補給物資もキットに入れておいて欲しかった。このブレンガン・キャリアーにはそういう物資の運搬が似合いそうだと思うのだが・・・。

米軍戦車M4A1シャーマンとの比較。何度も言うが小さい。シャーマンの前を走ろうものならシャーマンの操縦手の視界に入らず、気付かれないうちに踏み潰されてしまいそうだ。さらに踏み潰してもなお、操縦手は気付かなそうだ。画像のようなシチュエーションはまんざらでもなく、米英ともに連合軍なだけにこういう景色も実際にあったかもしれない。ウジャウジャと群がるシャーマンの間をすり抜けるようにブレンガン・キャリアーが走り抜け、時折、兵士が飛び乗り、目的地まで来ると手を振って飛び降りるような光景が浮かんでくる。縁の下の力持ち的な存在なのだろう。しかし、米軍の車輌は同じ連合軍でもオリーブドラブを使用するが、このブレンガン・キャリアーではダークグリーンが指定されている。私も指定通りの色で塗装したが、この辺りは米英共通ではなかったのだろうか。画像で見ると限りなく同色に見えるが、実際にはけっこう違って見える。不思議だ。

小さいキットでは大きなスケールの同じ車輌のモデルに比べてとても密度のある仕上がりとなる。このブレンガン・キャリアーは1/35スケールでも発売されているようだが、リアリティに関してはスケールの大きい方が有利だが、小ささのアピールという面ではこのようなスケールの小さいシリーズの方がより強調される気がする。軍用車輌でありながらなんだか愛くるしく見えるのもそのせいかもしれない。1/48スケールというサイズではこうした「戦車らしくない車輌」が本領を発揮できるスケールなのだろう。実際、このシリーズでは当初は戦車以外のモデルが中心だったという。タミヤの思惑がしっかりと伝わってくるモデルだということが解かった。このシリーズの最新モデルはやはり戦車ではなく、米軍の6輪トラックだ。とてもそそられるモデルだ。が、実は次の車輌はすでに決まっている。また完成したらレポートするが、次回はドイツでもアメリカでもなくなんと旧ソビエトだ。

(2007.06.11)