久々のレポート記事。今回はこれも久々のタミヤ1/35シリーズからホルヒ タイプ1Aをチョイスしました。戦闘車輌とは言えませんが、裏で活発に働く名脇役的車輌です。位置付けは「大型軍用乗用車」ということであくまで兵員輸送を目的とした車輌です。大戦当時、いくつかのバリエーションが生産されたようですが、今回は「大型軍用乗用車」としての本来の姿で製作してあります。このホルヒ1Aは第2次大戦前からドイツ軍で使用され、各地の戦地に人員や燃料等の物資を補給、輸送し、時には改造され、対戦車砲や機銃等を装備し、戦ったこともあったようです。その可愛らしい独特のデザインと4輪駆動の機動力から兵士たちにも親しまれてちたようです。今回、この車輌をチョイスした理由もその独特のスタイルに魅力を感じ、あまり手を出さない1/35スケールのモデルを製作するに至ったという訳です。
まずこのキットの概要を見ていきます。キット自体はタミヤの1/35シリーズの中でもかなり初期に設計、発売されたもののようです。したがって、現代の設計のキットと比べるとパーツ割りや組み立て方、説明書の内容等、かなり古さが目立ちます。が、それでもさすがタミヤ社。出来上がるとなかなかどうして、しっかりとタミヤしています。難しいところは一切無く、サクサクと組み立てられます。しいて言えばボディの箱組みのところはしっかりと水平、垂直を出しながら接着していかないとボディが歪んで出来てしまいます。最後にルーフの幌パーツを乗せた時にその歪みが災いして隙間ができてしまうでしょう。エンジンが納まるボンネット部分でも同じことが言えます。金型の古さなのか、古い設計ゆえなのか、各パーツに反り返りが多少生じているので気をつけなければなりません。また、バリ等も少々付いているので丁寧に削り落とす必要があります。とは言っても海外製のプラモデルに比べれば全然マシな方です。
実車は4輪駆動、4輪操舵ととても贅沢な機構を持つ車輌です。キットでもドライブシャフトやステアリングタイロッド、プロペラシャフト、デファレンシャル等に加え、4輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションを見事に再現しています。現代の目で見てもとても高性能な機構ですが、1930年代にドイツではすでにこういうクルマを作っていたということです。スゴい国ですね。エンジンは3800cc V型8気筒で80hpの出力だったそうです。必要にして充分なエンジンです。このホルヒという名前ですが、当時はドイツ国内でもフォルクスワーゲンやダイムラーベンツと並ぶ有数の自動車メーカーだったそうですが、大戦中の物資の不足等からメーカーの統廃合を受け、消えていったメーカーだそうです。もし、現代までホルヒ社が生き残っていたらベンツ等と同様に日本にもホルヒ製自動車が普通に輸入され、走っていたことでしょう。
さて、キットの製作では「乗用車らしく」というテーマを念頭に置いて製作しました。複雑な機構のシャーシーも少ない部品点数でしっかりと再現されていて組み立てやすさはバツグンです。シャーシーを濃いめのグレー(Mr.カラーのジャーマングレーは濃すぎるくらい濃いのです)にし、ボディはタミヤカラーのジャーマングレーにしました。燃料タンクはシャーシー最後部に1つとリアデファレンシャル直前にもう1つの計2つあります。それぞれセミグロスブラックで塗装し、強調しました。前後のタイヤの間に備え付けられているスペアタイヤはこの取り付け位置に付いている状態でも回転します。悪路を走行中にシャーシーを傷めないよう、スペアタイヤが回転することでガードしているそうです。こんなところにも独特の工夫がなされているのですね。本当によくできたクルマです。
幌を取り去った状態。荷台にはドラム缶やジェリカン、機銃等を積載してみました。後部座席は2列目が後ろ向きになっていて3列目と向かい合わせに座る形状です。運転席、助手席を含め、8人の乗車定員です。ご覧のように運転席、助手席と2列目、3列目のシートのある乗員室と荷室それぞれの間にはしっかりとした壁があり、箱型ボディで、しかも屋根が強度の無い幌タイプの為、この壁で補強してあることが解かります。エンジンルームとの間のパネル(バルクヘッド)も含めると3枚の鉄板で補強しています。ドアは位置の関係から逆観音開き。スペアタイヤを包むように前後のドアが開く構造です。このキットでは開閉しません。フロントガラスは前後に可倒式でご覧のように幌を外したらボンネット側に倒しておきます。キットには幌をたたんだ状態のパーツも付いていて被せた状態のパーツと差し替えることが可能です。この画像では付けていませんが。
運転手の人形も1体付属します。珍しく迷彩スモッグ着用の兵士で通常のドイツ兵とは違った雰囲気です。このところ1/48や1/72スケールといった小さいモデルばかり作っていたおかげで1/35スケールの人形がとても大きく感じて塗装もし易く感じました。右手でシフトレバーを、左手でハンドルを持つ格好ですが、ちゃんと位置関係を合わせて組み立ててやればピタリと収まります。この辺はやはりさすがタミヤといったところです。このキットを製作するにあたり、唯一キット以外のパーツを使用した個所がフロントバンパーに巻き付けてあるワイヤーロープです。キットにはタコ糸が付属し、これを指定の長さに切って取り付けるように指示されていますが、今回はディテールアップ用に発売されている金属製のワイヤーが残っていたのでそれを使用しました。本物の質感が得られます。
運転席内部。残念ながらハンドルを取り付けると運転手が降りれないので乗ったままでの撮影です。彼は一生ここに座っていてもらうことになります。足元にはアクセル、ブレーキ、クラッチのペダルがモールドで再現されていますが、彼の足でまったく見えません。右手が掴んでいるシフトレバー付近には副変速用レバーとサイドブレーキレバーがあります。シートは足がパイプでできていたようでしっかりと再現されています。ダッシュボードには現代車でも増えてきた「センターメーター」タイプの配置で各計器が並んでいます。最近のキットではこうしたメーター類はデカールが付属していて手軽にリアルに再現できますが、このキットではデカールは付属しません。1つ1つ筆で塗って仕上げていきます。いくつかのメーターにはレッドゾーンを描いてみました。軍用車でスポーティな演出もどうかとは思ったのですが、こんなディテールアップもアリかもしれません。
荷台に乗せた物資の数々。これは以前、同社製Sd.Kfz.222を製作した際に付属していたドラム缶、ジェリカンを流用したものです。ドラム缶を2個乗せようと思ったのですが、タイヤハウスが邪魔して他のものが乗せられません。現代車のようにゴルフバッグが何個積めるとかそういう発想ではないのでしかたないですね。乗せてみて初めて気づいたのですが、リアゲートも逆観音開きなので、ここにドラム缶を乗せるのはかなり難しいのでは・・・と。数人がかりで放り込むように乗せるようですね。運転席の彼はあそこに座ったまま降りれない訳ですし、困ったものです。その左に僅かに見えるのはキットに付属していた機銃です。幌を開けた状態にした際にポールを立てて機銃を装着できるようになっています。弾薬箱とかも付属して欲しかったところですが贅沢は言えません。
さて、今回は久々に老舗メーカータミヤ社のキットを取り上げてみました。やはり買って作る側のことをとてもよく考えているメーカーだと痛感しました。「ここは接着しません」とか「この部分にだけ接着剤をつけます」等非常に細かい説明書きがなされていて子供でも理解できるよう配慮されています。誰もが楽しく作ることができる、それがタミヤ製キットのすばらしいところ。古いキットでも最新のキットでもそこはまったく変わりありません。こうしたポリシーを一貫して貫き通すタミヤ社、「世界のタミヤ」と呼ばれるようになって当然だと思います。こうした脇役的車輌でも一切の手抜き無しに設計されていることがステキです。
(2007.12.22)
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