Tamiya 1/48 MMV Kettenkraftrad
w/Infantry Cart & Goliath Demolition Vehicle
相変わらずの快進撃を続けるタミヤ 1/48MMVシリーズの製作。とどまるところを知らない破竹の勢いだ。以前から述べているように、簡単に作ることができ、それでいてしっかりと高いクオリティに仕上がるすばらしいシリーズだ。今回、製作したのは第2次大戦時のドイツ軍が登場する映画では必ずと言って良い程登場する名脇役車輌、ケッテンクラートだ。その特異な構造と小さい車輌であることで連絡、運搬、偵察等幅広い仕事をこなせる「便利屋」だ。こういう脇役がいるからこそ「雰囲気作り」ができるというものだ。時には荷物を満載して前線基地まで走破し、ある時には伝令を伝える重要な任務を背負う。また、連合軍に捕獲され、米軍兵士らにも使用されているシーンがよく見受けられる。第2次大戦時、ヨーロッパ戦線においてこれ程両軍に便利に扱われた車輌も他に無いかもしれない。そんなケッテンクラートを製作してみた。

以前からこの車輌にはずっと抱いていたある疑問がある。キャタピラで走る車体にバイクの前輪とハンドルが付いたこの奇異的な形状の車輌、走ることは問題無くできると思うが、「曲がる」際にはどのような駆動方式によって曲がることができるのか・・・?ということだ。小さいとは言ってもそれなりに重く、車体の後端から最前部までキャタピラがかかっている。これだけのキャタピラが左右直結で同じ回転をしているならば、バイク用の前輪を切っただけではまったく曲がってはくれないだろう。ハンドルを切ってもそのまま前進し続けてしまう。では左右のキャタピラの間にデファレンシャルが設けられているのだろう。ここまでは容易に想像が付く。しかしいくらデフがあるとは言え、頼りないバイク用の前輪を切っただけでどうやってそのデフが作動してくれるのだろうか。クルマのようにタイヤになっていれば簡単に想像できるが、キャタピラという接地面積の多い走行装置を用いていて、バイクの車輪1つで舵を取るというこの車輌の構造にとても興味が湧く。今回、製作してみてもこの疑問に対するしっかりとした答えは得られなかった。実に不思議な車輌である。

キットにはケッテンクラート本体の他にこの画像の有線式リモコンで動く無人電動軽爆薬運搬車「ゴリアテ」も付属している。爆薬を載せ、敵陣までリモコン操作で向かい、敵陣に突入したところでその爆薬を爆破させるという卑劣な兵器だ。1940年代によくこんなものを考えついたものだと感心してしまう。ドイツ人の技術力の高さがこんなところでも証明されている。さすがに無線操作ではないが、接続されたケーブルは800mの長さがあり、充分な長さである。激しい撃ち合いの最中、ドイツ陣地からゴリアテがモゾモゾと動き出し、一直線に連合軍陣地へ向かう。低い車高が有効に働き、連合軍側からはなかなか発見できない。気付いた時には目前に迫ったこの小さな車輌。人間が乗れるようなスペースも無く、何が来たのか理解できない。そのゴリアテが突如目の前で大爆発するのだ。陣地内の連合軍兵士をまとめてやっつけるとんでもない兵器だ。「ゴリアテ」の塗装は新品状態に近い仕上げとした。「使い捨て」兵器である以上、そんなに汚れているハズが無いからだ。黒で墨入れをした本体とキャタピラ部もグリスが付着したままの真新しい状態で運搬される姿とした。

さらにキットには「インファントリーカーゴ」も付属する。さまざまな物資、武器、弾薬等を輸送する際に使用されたカートだ。キットに付属の弾薬箱やジェリカン、手榴弾ケース等の小物アクセサリーが手軽にポイポイ載せられる。このインファントリーカーゴも墨入れを施した程度で塗装を終わらせている。ジオラマ等の情景作りでもする際にはさらに汚しを加えてみても良い。そういう意味で「後からどうにでもできる」状態にとどめておいたのだ。こうした小物やアクセサリーパーツが豊富に付属しているこのキットを組み立てているとついついジオラマが頭の中をよぎる。「いつかやってみよう」とは思っているが、それを飾るスペースが問題だ。小さく作れば良いかもしれないが、やはりこれまで作ってきた戦車たちも登場させたいという気持ちが出てしまう。自ずと大きめの台座が必要になってくるのだ。難しい「スペース」の問題が解決できた際にはチャレンジしてみたいと思う。

キットにはさらに運転手ともう1体のフィギュアが付属している。これらの人形を配置することで模型に「動き」を与えることができる。今回は運転手はキットのまま製作し、後部座席にはもう1体の兵士を搭乗させることにした。そのままだと乗せることができないので足の開きを大きくする為、付け根でカットして造型し直し、座ることができる姿勢とした。また、ただ座っているだけでは面白くないので手すりに肘をかけ、得意げに昼食の大きなホットドッグをかざして仲間たちにアピールしている姿にした。ホットドッグはランナーから削り出しで製作し、下面を少し平らにし、コッペパンのカタチを再現。また、上部はV字に切り込みを入れ、ソーセージを挟める形状にした。ソーセージはランナーを炙って伸ばし、適度な太さのところを切り取り、製作。パンに挟み、マスタードとケチャップをかけた状態を再現した。プラモデル用の塗料で再現すると立体感のないケチャップになるので、今回は粘り気の強い自動車用タッチアップペイントを使用してケチャップの盛り上がりを再現している。

2人の兵士の傍らに置かれている銃はモーゼルKar98K。バレルやレシーバー等の金属部はお馴染みのガン用塗料「ブラックスチール」で塗装。ストックは艶消し茶色で塗装した。ボルトアクションライフルであるため、ストックとボルトのレバーのモールドとの境目等非常に細かい塗り分けが必要だ。また、バレルは糸のように細く、塗装するために筆を当てるだけでも折れてしまいそうなくらい脆い。付け根を瞬間接着剤で補強してから塗装した。後部座席の兵士の左(画像奥)には弾薬箱を1つ載せてある。もしもの時のために弾薬も携行する意外としっかり者の兵士だ。ちなみに今回はこうしたアクセサリー系に力を入れているように見えるが、ケッテンクラート本体の仕上げをサボった訳ではない。サビや汚れ等はいつも通りしっかりと施し、運転席ではモールドで再現されているメーター類も文字盤を白、針を赤、メーター周りのフレームを黒としっかりと塗り分けている。また、運転席座面はほとんど見えなくなるが、オリーブドラブに黒を混ぜ、暗めの色で塗装してある。

名脇役車輌、ケッテンクラートはミリタリー系、とくに第2次大戦当時のモデルを製作する上で必要不可欠なアイテムだ。ドイツ軍、連合軍ともに使用できるマルチなキットである。実際、米軍によって接収されたケッテンクラートは膨大な数に上り、実際に米軍によって使用されたケースがたくさんあったという。それほど便利な乗り物だったのだろう。タミヤでは1/35スケールでもモデル化され、根強い人気商品だそうだ。この何とも言えない可愛らしい乗り物の魅力は多くのファンを現代でも抱えているのだろう。私も以前からずっと気になっていた乗り物であり、こうしてキットが出ていて、作ろうと思ってみるとさらに魅力的な乗り物だと実感できる。強靭な戦車の脇でマイペースに任務をこなすケッテンクラートは今後も第2次大戦を題材にした映画ではしばしば登場することだろう。今後の活躍を期待したい。ちなみにこのケッテンクラート。組み立てはものすごく簡単だ。誰でも気軽に組み立てられる。

(2007.07.05)