特集
 Smith & Wesson K-Flame Revolver M19 徹底比較

スミス&ウエッソン社のリボルバーは、そのフレームの大きさによっていくつかのシリーズ分けがされています。もっとも小さいのがJフレーム。M36チーフズ・スペシャルがここに分類されます。次にKフレーム。ここにはM10やM15、そして今回のネタ、M19が分類されます。次にLフレームというシリーズがありますが、これはKフレームの派生モデル的な存在で、Kフレームに分類してしまうヒトもいるくらいです。少し特殊な経緯のシリーズです。そしてNフレーム。M29等の.44マグナム系のリボルバーがここに分類されます。Nフレームまで来るとそのボディはすでに巨体と呼べる程の大きさになり、よほど大きな手のヒトでない限り、しっかりとグリップできるヒトは少ないくらいです。近年ではこのNフレームを超える超巨体フレーム、Xフレームというシリーズが登場しています。M500系がここに分類されますが、もはや拳銃というよりはリボルバー式のバズーカ砲に見えます。

さて、今回の特集はそのS&W社のリボルバーの中でも名銃と呼ばれ、マグナム弾を世界中に普及させた立役者的存在のM19。.357マグナム弾を使用するリボルバーで、歴史は古く、1950年代に登場しています。バレル長は4と6インチがまず登場し、後に2.5インチが登場しています。トイガンでは以下のようなラインナップで発売されています。

東京マルイ

24連射ガスリボルバーシリーズ(4、6インチ)現在販売停止中

タナカ

ペガサスシステムガスガン(2.5、4、6インチ、各ABS、ヘビーウエイト製)
同M66(シルバーモデル)

コクサイ

ガスガン(4、6インチ)カートリッジ式
モデルガン(2.5、4、6インチ)各ABS、ヘビーウエイト製
同M66(シルバーモデル。ABSのみ)

ハートフォード

モデルガン(2.5、4、6インチ)ヘビーウエイト

クラウンモデル

エアコッキングリボルバー(4、6インチ)
同M66(シルバーモデル)

となっています。他にもマイナーどころでも発売されているかもしれませんが、通常、手に入りやすいモデルはこんな感じです。

私が所有しているM19は全部で4挺。東京マルイ製4、6インチ、タナカ製2.5インチ・ヘビーウエイト、そしてハートフォード製6インチ。今回、モデルガンであるハートフォード製6インチはお休みいただくことにして残り3挺のガスガンで比較してみたいと思います。東京マルイ社製M19は両モデルともヘビーウエイト材で製造され、表面はブルーイング処理に似せた塗装で仕上げられています。この塗装は使い込んでいくうちにペリペリと剥がれてくるという厄介者。とくによく触る部分やぶつけやすい個所はたちまち剥がれてしまい、ヘビーウエイト材の地肌が露出します。ただ、塗装の色合いはとても良く、青すぎない落ち着いた深いブルーといった感じ。トリガー、ハンマー、シリンダーラッチ、エジェクターロッド、リアサイト一式、ヨークは金属製。亜鉛ダイキャストの黒染め塗装です。形状は無難にM19の特徴をよく捉えており、模型としての完成度はそこそこ高いと思います。が、いくつか問題点もあるのです。まず、致命的なのはその発射システム。本来6本のシリンダーを持つM19ですが、各シリンダーに4発のBB弾を装填し、その先頭の1発が発射され、次のシリンダーへ回転。3発になったシリンダーではそれぞれの弾が前へ押し出され、同じように次の回転の時、発射されます。合計で6シリンダーX4発で24連射という訳です。が、このシステムはあまりにも複雑で、ガスルートが特殊な構造ゆえ、致命的にパワーが足りません。ヘロヘロな弾道の上に、弱すぎて弾が発射できないこともよくあります。24発すべてを連射するのはかなり難しく、必ず数発は発射できません。次に、バレルの固定方法がいま1つしっかりしていません。リアサイトからつながっている反射防止のセレーション部を止めている小さいネジで上部を固定しているだけで、しっかり固定されているにもかかわらず、バレルが上下にガタつきます。これでは命中精度は悪いハズです。バレルが短い4インチの方がまだこの影響を受け難いことで命中精度が良かったりします。そしてグリップ。6インチはプラ製木目調、4インチはラバー製のグリップが付属しますが、どちらも質感は今1つ・・・。とくにラバー製は東京マルイ社オリジナルの刻印が彫り込まれ、フレームに対しての密着度も悪く、長年使用しているとプカプカ浮いてきます。

そんな東京マルイ製M19ですが、やることをやれば結構弱点も克服できます。まずは発射システム。これは根本的に解決策は無いので、各シリンダーに埋め込まれている発射システムをすべて取り除いてしまいます。そして、マルベリー・フィールドやキャロムショット等から発売されている東京マルイ製M19用.357マグナムカートリッジを挿入します。すると全部で6発しか撃てなくなりますが、確実な作動と、リボルバー本来の楽しみであるカートリッジの装填、排挟ができるようになります。ガスも弾に対してダイレクトに噴射されることになるのでパワーも上がり、不安定さが無くなり、命中精度も向上します。簡単な作業でカートリッジ式に生まれ変わることができるのでこれはおすすめです。バレルのガタつきに関しては「詰め物」で固定するか接着するかである程度克服できますが、接着してしまうとメンテナンスやトラブル等の際に分解できなくなってしまうのでやはり「詰め物」での対処が良いでしょう。そして、グリップ。これは好みによりますが、木目調グリップの方がしっかり固定できるので、こちらを4インチモデルにも使用して塗装でリアルに再現するしかなさそうです。東京マルイ製M19はグリップ内にガスタンクがある為、実銃用グリップは装着できません。キャロムショットから東京マルイ製M19用木製グリップが発売されていますが、好みとお値段の折り合いが付けばこれを装着するのもアリでしょう。

お次はタナカ製M19 2.5インチ ヘビーウエイト。東京マルイ社製とは明らかに違うオーラがあふれ出ています。東京マルイ製M19が誰にでも扱いやすく購入しやすい商品で、価格の安さから、多少リアリティに欠ける質感なのに対し、タナカ製M19はトイガン暦の長い目の肥えたヒトでも満足できるリアルなディテールとヘビーウエイト材の独特の重みとひんやりとした手触り、銃を置いた時の「ゴトリ」という音等模型としてのクオリティの徹底追求がなされています。値段も高めですが、この質感を得る為には妥当な値段と言えるでしょう。この質感はすでにガスガンの域を越えており、モデルガンとも互角に張り合えるクオリティです。ただし、前述のようにシリンダーはペガサスシステムの為、カートリッジの装填はできません。また、そのシリンダー表面は金属製であり、シリンダーを収納している状態では実銃さながらのリアルさです。出してしまうと前後の景色がペガサスシステムであることが一目で解かる状態になってしまいます。それから分解時に開けることになるサイドプレートが金属製で、丈夫なのは良いのですが、フレームのヘビーウエイト材との色の違いがしっかり現れていてちょっともったいない気になります。むしろ同じヘビーウエイト材で作っていても良かったのではないかとも思います。これはタナカ社製S&Wリボルバーに共通の仕様のようで、私の所有するM29なんかも同様の材質で出来ています。

以上の3挺を並べ、見比べてみます。画像のようにグリップは3挺3様で、6インチはオーバーサイズ木目調プラグリップ。4インチはオーバーサイズラバーグリップ。2.5インチはサービスサイズ木目調プラグリップ。それぞれまったく違ったグリップ感です。ヒトそれぞれ好みや握りやすさ等違うでしょうが、私は6インチのオーバーサイズグリップがもっともしっくりきます。単純に握るだけであれば、手の小さな私には2.5インチのサービスサイズが良いのですが、射撃の安定度を考えるとオーバーサイズの方が上になりますね。4インチのラバーグリップも決して握りにくいことは無いのですが、どうしてもあのフレームとの合わせ面との隙間がプカプカするのが納得できません。木目調グリップのように真ん中に1本でもねじで止めていれば少しは違うのでしょうか・・・。いずれにしても、幸いどれもカスタムグリップが発売されていますし、私のレポートの中のPPK/Sモデルガンの時のように自作で作っても良い訳ですから好きなように対応できるということです。とくにタナカ製の場合、実銃用グリップも装着可能ですので、さらに自由度は高まります。

東京マルイ製6インチのマーキング刻印。「TM」を飾ったオリジナルのマーク。「東京マルイ」の頭文字か「トレードマーク」の略なのか・・・。いずれにしてもリアル刻印ではない。けっこう他メーカーのトイガンでも見られることではあるが・・・。 東京マルイ製4インチのマーキング刻印。こちらはわりとリアルに「SW」の飾り文字。恐らく初期モデルがこちらと思われる。リアル刻印の使用許諾云々の問題が発生した後、左の6インチのような刻印に変更されたものと思われる。 タナカ製2.5インチのマーキング刻印。リアルな刻印だ。ただ、彫りが浅いのでブルーイング等の為に表面処理をすると消えてしまいそうである。細心の注意を払って作業をしなければならない。表面はHW地のままのマッドブラックである。

バレルのバリエーションによってずいぶん違う印象になるM19。2.5インチだけはエジェクター・ロッドとシュラウドが短縮され、実射性能を低下させることなく短縮できる最短のバレル長まで切り詰められていることが解かる。スナブノーズと呼ばれる短銃身モデルだ。M36チーフズ・スペシャルをひとまわり大きくしたようなそっくりな外観をしている。3挺ともに共通しているのはフロントサイト。三角のサイトにレッド・ランプが埋め込まれていて狙いやすい。実銃では台形になっているのだが、ガスガンではその製造工程等の理由から平行四辺形になっている。また、今回はお休みいただいたハートフォード製モデルガンM196インチでは最初期型のモデルアップということで四角いサイトでレッド・ランプは無い。同社製4インチでは三角のサイトでレッド・ランプが無いバージョンをモデルアップしているようだ。モデルアップした元銃の年式等の違いによってこういう些細な部分が違っている。

Smith & Wesson社製リボルバーは現在のラインナップではほとんどがシルバーに輝くステンレスモデルとなっている。少し前までの鉄製の深いブルーに輝くブラックモデルはごく1部のモデルだけに限定されて生産されている。私個人的にはブラックモデルが好きなので、とても残念ではあるが、これも時代の流れなのだろう。これからはシルバーのステンレスモデルが主流となるのだろう。ということはトイガンの業界でも今後のリボルバー新製品はシルバーモデルが主流になるということになる。古いブラックモデルの良さも決して捨てがたい。完全に無くさないでもらいたいものである。ちなみにM19はすでに生産は終えて、同じモデルのステンレスバージョンであるM66に移行され、生産されている。カタチは同じでも色の違いだけで随分と印象が違うものである。今後の実銃業界はリボルバー式拳銃においては材質がステンレス主流となり、どこのメーカーもステンレスを積極的に取り入れていくことだろう。今後の動向を見守りたい。

(2007.03.01)