世界でもっとも一般的に使用されるようになったマグナム弾、.357マグナム。その.357マグナム弾を使用するリボルバー拳銃はS&W社のM19やコルト社のパイソンが有名だが、公的機関での使用を目的としたこのコルト ローマン MkVは米国全土においてさまざまな職の公的機関の人々が愛用し、現在でも高い信頼性から使われ続けている隠れた名銃である。画像の通り、デザインはどこか古く懐かしい印象を受けるローマンだが、発射する弾薬は現代においても犯罪鎮圧にとても効果的な.357マグナム弾だ。この古臭いデザインの銃から強力なマグナム弾が発射されるというあたりが「羊の皮を被った狼」的で興味深い。映画やドラマでもしばしば登場していたローマンだが、最近ではさすがに登場する機会は少なくなってきた。’70年代頃には刑事モノやアクション系のドラマや映画には欠かせない銃であり、日本の映画等でも見ることができた。まさにそんな時代に人気だったモデルガンがこのMGC製コルト ローマンだったのだ。
最近ではリサイクルショップというとても便利なショップが各地に展開されている。個人経営の小さな店からチェーン店の大型店舗まで、さまざまな形態のリサイクルショップが街にはたくさんある。当店のような中古車販売店もその1つだ。ジャンルは違うが前オーナーさんが不要、もしくは換金の為に手放した中古品を販売するという業種では共通である。そんなリサイクルショップにはあらゆる商品が並べられ、需要と供給が成り立っている。今回のMGC製コルト ローマンもそんなリサイクルショップに立ち寄った際にたまたま展示されていたモデルガンだった。箱も取扱説明書も付属し、肝心のカートリッジも6発すべて揃っていた。その状態で定価の半額以下の価格で購入したのだ。通常、ガンショップで同程度の中古品を購入するとなれば輸吉1枚は最低、覚悟すべきだろうが、今回はその半分、一葉1枚で済んでしまった。すばらしいお値段だ。
さて、このローマン。とにかく古い。MGCからは何度か再販されてはいるが、すべてヘビー・ウエイト樹脂製で、ABS樹脂製ローマンは初期の生産分がほとんどらしい。購入したこのローマンはABS樹脂製で、しかも人気の無かった4インチのモデルだ。ますます貴重な存在である。世に残存しているローマンのほとんどが2インチモデルだそうだ。確かにマニアの方々のホームページを見てみると、2インチモデルは多数紹介されているが、4インチモデルはあまり見かけない。そんな貴重なモデルだとはまったく知らずに購入したのだ。思いがけない珍品が手に入ったという訳だ。外観はかなり磨き込まれ、ABS樹脂独特の艶があり、よく手入れされている。しかし、フレーム右側面にあるモデルガンの安全基準適合マークの刻印「SPG」マークを消したかったのだろう、ヤスリで深く削り込んだ跡がしっかり残ってしまっている。他の部分が大変美しいだけにこれだけがとても悔やまれる。また、シリンダーには回転の作動痕があるが、これは私は気にしない。遊べば必ず付くキズだ。これによってモデルガンの価値が下がるだの何だの言うのはコレクターの方々にお任せする。私は手に入れたガンは皆いつでも遊べるようにしておき、飾るというより「スタンバイ」しているという考え方だ。
カートリッジは実弾の.357マグナム弾より短い。シリンダー内のインサートにある撃針によってリアルサイズのカートリッジが挿入できない設計なのだ。当時のモデルガンとしてはごく標準的な作りだ。真鍮でできたっこのカートリッジはシリンダーとの相性も良く、スルリと挿入でき、傾けるだけでジャラジャラと抜け落ちてくれる。こういった各部の作動はすべてにおいて実にスムーズで、撃ちやすい。ただ、シングル、ダブルアクション供にシリンダーの回転は最後までしっかり回転してくれず、ハンマーが起きたところで手でシリンダーを正規の位置まで回してやることが必要なことが多い。これはMGC製リボルバーの泣き所だそうで、この症状は新品時から起こっている個体が非常に多いそうだ。私のローマンも例外ではなかったということだ。まぁ、ハンマーを起こした後、シリンダーをちょこっと指で押してやればバレルと一直線上に固定されるので言葉で言う程苦ではない。タナカのガスガンでもよくあることだ。むしろそのタナカのガスガンで慣れてしまっているといった方が正しいかもしれない。
グリップはプラ製。ローマンらしい標準サイズのグリップだ。色合いも長年、繰り返し握られていたことを物語るちょっと褪せた茶色である。何だかとても歴史を感じてしまい、塗装をする気になれない。これはこれで取っておいて、木製グリップでも入手できれば交換して使いたいものだ。この純正プラグリップは新品当時、どのような仕上げだったのか、今では知る由も無いが、現在の状況としてはテカテカに艶が出ていて木製を模した状態とは程遠い。キャラメルのような艶とでも言おうか・・・。形状はとても良く再現されていて、グリップフレームにしっかりと合っている。これが逆に木製っぽさをかき消しているようにも見える。本来、木製グリップはここまでエッジがシャープでは無いし、寸分の狂いも無く密着しているハズも無い。表面の仕上げがどうというよりその辺がプラ製であることがすぐにわかる要因なような気がする。ちなみにメダリオンはアルミ製で、良い質感ではあるが、1円玉と同じような退色の仕方がどうも馴染めなかったりする。
MGC製モデルガンは作動重視で、内部構造は大幅にアレンジされ、リアルではないと言われている。実際、このローマンでもそれは当てはまる。ハンマースプリングの形状やヨークの固定用の爪・・・挙げればいくつもデフォルメされているヶ所が出てくるが、私はこれはこれでアリだと思う。実銃の構造にこだわり、同じように再現しても肝心の材質が違えば強度的な問題が発生し、故障や不具合の元となる。そこまで計算されているリアルさなら歓迎できるが(コクサイ製や東京CMC製のように)、そうでない場合にはむしろデフォルメして強度を保ってくれていることの方がありがたいというものだ。確かにモデルガンの場合、イジって発火させて飾って楽しむことの他に分解して内部構造を楽しむということも重要だったりする。しかし、すぐに破損してしまったり作動不良を起したりするモデルガンを分解するのは大半の人にとって「楽しみ」ではなく「苦痛」と受け止められるに違いない。それなら最初から強度を保つためのアレンジがされている方が安心して分解も楽しめるというものだ。
かなり奥まった位置にあるシリンダーインサート。もっと手前にあってもよかったんじゃないかとも思う。シリンダー穴先端から6〜7mmは奥に入っている。なにか意味があるのか、たまたまこうなってしまったのか・・・。カートリッジを装填してもしっかり覗かない限り、弾頭部が見えない。もう少しくらい見えてくれても良さそうではある。エジェクターロッドはシリンダーと固定されてはおらず、ロッドを回してもシリンダーは回転しない。薬莢を押し出すことは出来る。そのエジェクターロッドはシュラウド等に囲まれている訳でもなく、バレル下に寄り添うように突き出ているだけだ。手で動かすと3mm程前後に動く。これが実銃でもそうなのか、はたまたMGCお得意のデフォルメなのかは定かではないが、ロッドもヨークも金属製なので質感は申し分無い。ヨークとフレームの間の隙間も最小限まで無くしてあり、ピッチリと密着していて気分が良い。
さて、このMGC製コルト ローマン。購入後、コンパウンドやピカールでさらに磨いて艶を増した。ABS独特の艶がさらに輝きを増したのだ。こういう古臭いリボルバーはなぜか艶やかなABS製のフレームがとても良い味を醸し出す。噛めば噛む程味が出るとでも言うのか、新しい製品には出せない独特の輝きを放つ。古き良き昭和の時代の輝きである。モデルガン全盛期のあの時代に製品化され、現代まで生き残っていたこのローマンの歴史が詰まった輝きだ。私のコレクションの中で、その輝きをいつまでも保ち続けて欲しいものである。とても良い買い物だった。
(2007.01.20)
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