Marushin Smith & Wesson Model 2 Army
HW
モデルガン製作第2弾はマルシン製モデル2アーミーだ。組み立てキットの本製品は完成品とは違って格安で手に入る。完成品であっても分解、調整が必要なモデルガンの世界。ならば最初からバラけていて安い方が良い。前作のPPK/Sを製作して以来、次に購入するのは必ず組み立てキットを、と決めていた。予定通りの入手となった。今回購入した店は時間的になかなか顔を出すことができないケイ・ホビーではない。近場で済ませてしまった。ケイ・ホビーの方々には大変申し訳ない・・・。さて、このモデル2アーミー。とくにこれが欲しいという気持ちで購入した訳ではない。店頭でマルシン製組み立てキットが積み重なっているのを見て、内容を確認しつつこれに決めた。ブローニング・ハイパワーの中華民国国有モデルが最有力候補だったのだが、その店には在庫していなかった。さらにブルーイングをすることが目的なのでヘビーウエイトであることが必須条件。おのずとM84、ガバメント、そしてこのモデル2アーミーの在庫から選ぶしかなくなっていた。完成品は他にもたくさん在庫していたが、今回そちらに興味は無い。M84は固定スライドガスガンを持っているし、ガバメントは先日塗装カスタムを製作したばかり。残ったモデル2アーミーに決まった。中身を確認すると、箱の写真では解からなかったが、実に小さい銃であることが解かる。小さいのはとても私好みだ。さらに標準で木製グリップが付属している。さらにさらにこの1挺だけがリボルバーであり、しかもバレルが八角形のオクタゴナルバレルでとてもブルーイングしやすそうで仕上がりも美しそうだ。消去法で選んだモデル2アーミーだったが、見れば見る程製作意欲が湧いてきたのだった。

早速製作開始。まずは説明書をよく読む。四つ折りにされた説明書はA4サイズになっているが、広げるとA4X4倍の大きさになる。かなりデカい説明書だ。しかし、書かれている内容は実にシンプルで解かり易い。総部品点数49点。少ない。それだけ単純だということだ。説明書を読む限り、特別難しいことは書かれていない。素組みなら2〜30分もあれば組みあがってしまう程度の内容だ。しかし、相手はモデルガンである。さまざまな調整や工作が待っていることだろう。ひととおり読み終えておおよそ理解した上で開封に入る。バレル、フレームは段ボール固定され、その下に小物類やねじ等が各ビニール袋にまとめられ、テープで止められていた。すべてを開封し、箱の一番下に入っている中皿に空ける。すべての部品を眺めても明らかに少ない部品点数だ。単純なモノ程壊れにくいという私の持論にみごとに適合している。バレルとフレームに取り付けることになる各部品のはまり具合や位置関係を確認し、ブルーイング作業に入る。

今回目指すのは漆黒に輝くバレル表面の奥深くに僅かに残る青味・・・という感じだ。というのも、この銃、どうも調べてみると、幕末、かの坂本竜馬が使用した銃らしいのだ。そのことを知ったところで完全に頭の中では「江戸末期から明治にかけての純和風」なイメージが離れなくなってしまったのだ。日本で作ったのならばそのイメージで良いのだろうが、この銃はスミス&ウェッソン製である。漆塗りのような黒は本来はあり得ないだろう。しかし、1度張り付いたイメージはそう簡単には消えない。そこで、とにかく青ではなく黒を目指そうと目標を立てた。手元にある材料はいつものスーパーブルー液のみ。はたして理想の”黒”になるのだろうか・・・。期待と不安が交錯しながら削り作業に入る。ペーパーがけをして金属肌を露出する。ブルーイングも2挺目になるとこのあたりは慣れたものだ。サクサクと削り、表面を整える。平面の多い銃だけにとても作業がしやすい。フロントサイトを磨いたら真鍮色が出てきた。分解は出来なさそうだがフロントサイトは真鍮製だった。この真鍮色は良いアクセントになりそうなので黒くしない方向でいくことにする。

表面処理が終わったらブルーイング。液を乗せていくと見る見る変色していく。乾燥、水洗い、乾燥の後、真鍮ブラシで磨くと、見事な青ができていた。全部で4回染めたのだが、黒ではなく青がどんどん鮮やかになっていく。通常なら大成功と言いたいところだが、どうも私のイメージとは合わない。仕上げの磨きを行ってみるとより深みのある青になっていった。どうにかして黒くならないものか・・・?今さら塗装というのもしたくないし、とりあえずブルーイング液の性質を徹底的に調べてみることにした。まず、液はアルカリ性であるそうだ。金属に酸性の物質が付着すると錆が発生するが、アルカリ性の物質が付着すると違った種類の錆が発生するという。この錆は鉄等が赤く錆びるのと違ってほぼ無色透明なんだそうで、その透明の層が形成されることで地の金属の色が青く見えるという。ガラスの断面を見ると青く見えるのと同じようにこの層も断面を見ると青く見えるそうだ。ということは、ブルーイングでできた表面皮膜はアルカリ性であり、透明度が高い程青く見えるということだ。そこで私はひらめいた。「ならば今度は表面に酸性の物質を付着させれば何かしらの色が付くのではないか?」ということだ。しかし、強力な酸では表面はおろか、中まで溶かしかねない。試すとすれば弱酸性の物質だ。弱い酸性の物質で表面を磨くと表面だけが化学反応してくれるだろう。そこで、弱酸性の物質を探す。ふと、流しで目が止まる。「ビオレママになろう!弱酸性ビオレ!!♪」これだ。ハンドソープだ。手に泡立てたビオレを付け、青く輝くバレルに塗りたくり、泡まみれにした。バレルは見る見る黒くなっていく。「やった!!」すぐに水洗いして乾燥し、磨く。するとそれまでの青々した表面がグレーに近い黒に変わっていた。乾いた布でさらに磨き続ける。表面はどんどん元の艶を取り戻していくが、色は落ち着いた黒のままだ。磨き終えて光に照らして見ると、黒い艶の奥深くに微かな青が見える。完璧だった。理想どおりの仕上がりだった。まさか「ビオレ」がモデルガンの色を変えてくれるなんて・・・。こうしてモデル2アーミーのブルーイングはほぼ理想のカタチになり、仕上がった。

グリップは標準で木製グリップが付属している。これまでの流れから行くと、ニスを塗って仕上げたくなるが、今回は違う。この木製グリップ、なんとも和風で落ち着き払った雰囲気を全体で醸し出している。これは絶対このままが良い。黒く染まったフレームとのマッチングも絶妙だ。あたかも計算していたかのようなすばらしいコーディネートだ。木目も程よく入っており、時代背景に合った風合いだ。手を抜くのではなく、このままが一番似合うということだ。今回、ブルーイング+木製グリップの組み合わせは2回目となるが、それぞれ違った雰囲気を出せたと思う。まるっきり性格の違う銃同士ではあるが、それぞれにイメージした理想形に近づけることができている。とくにブルーイングに関しては、ほんの僅かな色味の違いだけで劇的に雰囲気が変わるから不思議だ。グリップも同様に、同じ材質であっても木目の現れ方や艶の出し具合等でも全然違うイメージになってしまう。この辺がモデルガンの面白みなのかもしれない。

バレル上部の刻印はリアルではない。本来なら「SMITH&WESSON SPRINGFIELD MASS」と入るのだろう。このモデルガンでは「SMITII&WLSSON SPRINGFIELD MASS」となっている。「スミッティー・アンド・ウィルソン」って・・・?正式刻印の使用許諾云々の関係だと思うが、なかなか楽しませてくれる。「II」の間に横棒を1本入れると「H」になるし、「L」に横棒を2本足すと「E」になる。合計3本の横棒を入れることでリアルな刻印が出来上がるという訳だ。考えたものである。恥ずかしながらブルーイングをしている途中でこのことに気付いてしまった。最初から気付いていればちゃんと刻印を入れたのに・・・。でもまぁ、話のタネにはなるのでこのままでも面白いからいいや・・・と納得している。ちなみにこの銃では刻印はここだけである。他には一切無い。そこがまたこの銃の味なのかもしれない。ちなみにこの刻印部分が今回のブルーイング処理の中でもっとも青く残っている部分だ。彫り込まれた刻印内部は光が当たりにくい。したがって変色したことが一番解かりにくい部分である。

さて、こうしてブルーイングも完了し、組み立てに入った。組み立ては実に簡単で、調整や加工作業もほとんど必要無い。しいて言えば、リアサイトとシリンダー・ストップを兼ねているフレーム・ヘッド。そのまま組むと左に偏って装着されてしまうため、動きが渋くなる。そこでフレームのくぼみの左側面を少し削って余裕を持たせてやる。それから、フレーム・ヘッドにはシリンダー・ストップ・ストライカーという板バネのような部品が挟まっているのだが、これが上から突き出た凸がたのポッチに穴がはまるだけの構造になっており、ハンマーを起こすと毎回ではないが、よく飛び出してしまう。おかげでハンマー上部にキズが付いてしまった。これは穴にはめ込んだら瞬間接着剤で貼り付けて固定した。もう1つ調整しなければならなかったシリンダーの回転不良もこれによって収まってしまった。シングル・アクションなので、毎回ハンマーを起こす動作が必要なのだが、その際、ハンマーを引き切ったところでシリンダーが回転して次弾が最上部に来るハズなのだが、ときどき空回りしていたのだ。これがシリンダー・ストップ・ストライカーを固定しただけでちゃんと回転するようになってしまったのだ。余計な作業が1つ減った。

完成したモデル2アーミーはとても美しく、名銃である所以が随所に垣間見ることができる。作動も快調で、空撃ちではなんら不安が無い。まだ発火させてはいないので発火はどうなるか解からないが、正直、これだけ美しく仕上がると発火させたくなくなってしまう。発火はPPK/Sにお任せして、こちらは観賞用モデルガンということにしておこう。坂本竜馬の写真をバックに専用ガンスタンドでも作ってみたくなる。純粋なアメリカ産の銃なハズなのに和の心も持ち合わせる不思議な1挺だ。そして、組み立ての簡単さ等から考えればとても初心者向きのモデルガンと言える。フレームやスライド等ヘビー・ウエイト樹脂製部品のバリさえ取れば素組みでも充分鑑賞に耐えるハズだ。その程度の工作なら小学生でもできるレベルである。それでいてこれだけ快調なのだからたとえ初心者であっても簡単に組み立てて快調に発火させることができるだろう。これからモデルガンを始めてみようという方には特に強くお勧めしたい1挺だ。リボルバーがお好みならという話だが。  (2006.08.28)



どうしても抜け切らない「和風」なイメージのモデル2アーミー。専用のガンスタンドを作ってみました。某大型ホームセンターで素材を物色。さまざまな形状の木材が並んでおり、夢は膨らむばかり。四角い板でも角を丸めてあるものや、飾り彫りが施されたもの、ニスで仕上げてあるもの等いろいろある。さらに丸型や楕円形等実にいろいろな木材が売られていた。中でも私がピンッときたのがご覧のような丸太を斜めにカットしたこの土台。ウエスタンっぽくもあり、和風にもアレンジできそうで気に入ってしまった。この木材は最初からペーパーがけをしてあって表面や角が滑らかに仕上がっている状態だった。木目の様子や年輪の出具合等で良さそうな1枚を選んだ。今回はとにかく和風というのがキーワードだ。ニスで仕上げるよりも木本来の暖か味を再現すべく、表面仕上げはすべてペーパーがけのみ。土台に関しては買ってきたそのままの状態である。

最も苦労したのがこのカートリッジ立て。厚さ1Cm、幅3Cmの板状の木材を切って作ったのだが、最初、穴開けの時にドリルの刃を立てた瞬間、材料に亀裂が入ってしまった。考えていたよりもモロい材質だったのだ。そこで、6個の穴の両端を1Cmにサイズアップして穴を開けた。結果的にはこれが正解で、穴を開け終わった後、四辺の角を落とす加工を思いついたのだ。仕上がりは画像をご覧いただくとして、この加工についての注意点。正直、意外と難しい。何が難しいって土台に接する接着面に対し、平行に丸めていくことがとても難しいのだ。気付くと斜めに削れていたり、1ヶ所だけ深くなっていたりしてしまう。平ヤスリで丁寧に均一に削っていかなければならない。さらに四隅の処理はもうひと苦労。美しく仕上げる為には角までしっかり平行で、かつ、丸みを持たせながらも角はしっかりエッジを立てたシャープさが欲しい。こういう細かいところにこだわると、完成がどんどん遠のいていく。

肝心のスタンド部。カートリッジ立てと同じ材料を使っている。モデル2アーミーの形状をしっかり採寸し、キッチリとはまり、なおかつ銃にキズが付かないよう、キツキツにはしないギリギリの寸法取りを行う。削っては合わせ、削っては合わせを繰り返し、丁度良い形状、大きさに彫り込んでいく。おかげで実際銃を立てた時、ガタつきがほとんど無く実にしっかり保持してくれている。しかし、キツくもなく、スッと取り出せる状態だ。最後に角を少し落として全体にペーパーをかけて仕上がった。これを土台の裏から木ねじと接着面には木工用ボンドの2重固定。木ねじは皿ねじなので皿部が出っ張らないよう、穴の周囲にくぼみを付けて、土台の下面にねじ頭が出っ張らないよう工夫した。これでしっかり固定でき、あとは適度な位置にカートリッジ立てを接着して出来上がりという訳だ。文章で説明すると難しく思えるが、とても単純な工作だ。スタンドを固定する際のねじを入れる際にあらかじめドリルで穴を開けておくのがミソ。これをしておかないとスタンド部の素材のモロさでヒビが入ったり欠けてしまったりする。

土台の周囲の木目。樹皮が残っている素材だとウエスタンっぽくなるだろう。今回は樹皮を剥いてあるものを選んだことで少しは和風になった。近いうちにネームプレートのようなディスプレイを作って取り付けたいと思っている。なにか和風な素材を探してみようと思っている。こんなガンスタンドを1つ作って銃を飾ってみるだけでも随分雰囲気が違うものだ。無造作に棚に置いてあるのとこうして専用ガンスタンドを作ってそれに立てておくのとでは銃そのものが別物のように見えてくる。「こんなに高級感のある銃だったっけ?」というふうに感じるのだ。お店等の商品のディスプレイ等もこのように飾り方1つで売れ行きが変わってきたりもするのだろう。あらためて保存の仕方の大事さを痛感した今回の作業だった。ちなみに今回のガンスタンド、およそ1時間ちょっとで完成した。ちょっとしたことだがやってみて損はないカスタムだ。

(2006.10.07)