「おっ!!P88!!」某Y!オークションをなにげなく眺めていた時、ふと目に飛び込んできたのがこの銃との出会いだった。今ではなかなか再生産されないモデルだけに貴重な逸品だ。早速、実弟「と」に連絡を取り、代行で落札してもらい、手に入れた。新品での購入ながら、個人での出品で、安めに購入することができた。マルシン社のシークレット・エージェント・シリーズ(以降SAS)は気軽に工作を楽しめることや、塗装もしやすくお気に入りのシリーズだ。設計は古いが、構造は単純で、バラしても簡単に元に戻せるため、塗装をして組みなおすのも楽なのだ。さらに、他社では生産されていないマイナーな銃がモデルアップされていて、コレクションとしても面白い。そのSASの中でも相当に異端児的なモデルがP88だ。ワルサー社が米軍正式採用拳銃のトライアルに持ち込む為に開発された銃らしい。このトライアルでは結局、ベレッタ M92Fが勝利し、現行米軍正式採用拳銃に決まった訳だが、そのトライアルにワルサー社の代表として堂々と参加したのである。製品としてのP88は成功したとは言えず、ドイツ本国で軍や警察に使われた時期もあったが、短命に終わった。その後登場したのがP99であり、ワルサー社初のポリマーフレーム採用拳銃として現在も多くのバリエーションを展開して人気を博している。そのP99の成功の陰に隠れるようにP88の苦い教訓があったという訳だ。P88は軍用向けだけあってその外観はモロに無骨でメカメカしい。今回のネタはそんなワルサーP88だ。
構造は他のSASに準じてモナカ構造。フレームとスライドが一体成型。ただ、これまで取り上げてきた小型のSASとは違い、トリガーは内部でトリガーバーを介してハンマーを可動させる為、リアルに動く。これまで紹介してきた小型SASのM1910やHSc等ではトリガーは前後にスライドするように動く為、引き心地に違和感がある。とくにHScは実銃ではスライド可動するトリガーではない為、どうしても「エアガンをいじっている」感が拭えない。大型のP88は内部スペースにも余裕があり、このようなリアルな作動が実現できたのだろう。さらにシングル・アクションで撃つ際にはハンマーを起こしたら連動してトリガーも半分程度まで引かれる。¥5000−以下の安いエアガンでこの動作ができるのはとても魅力的だ。そのトリガーやハンマー、セーフティレバーは金属製。さらにSASお約束のマズル近辺のパーツも金属製だ。仕様はこのような感じでまぁ、SASではごく標準的な外観だ。テカり具合もまさにプラという感じでおもちゃ感たっぷりだ。
さて、今回ははっきり言って難しい塗装だった。というのも、実銃の資料があまりにも少ないのだ。人気の無さからマニアの方のサイト等でも紹介されることはほとんど無く、写真を探すのもひと苦労である。結局、しっかりと実銃を確認できる資料は数枚の写真(それもかなり小さめの)のみであった。それらの写真をよく見ながら仕上げの方法を頭の中で考えていく。最終的には想像で仕上げた部分が多いのも事実。しっかりした画像が無い以上、想像力で乗り切るしかなかったのだ。軍用銃らしく、ガバメントの時と同様に本体はメタル・パーカーで行くことにした。完全分解をし、左右のフレームだけにしてみると、今回はどうも刻印が邪魔っ気に見えてしまう。シャープな刻印なら良いのだが、いかにも「おもちゃ」らしい太い丸ゴシック刻印。スライド前方、左側とフレーム前方左側にはシリアルナンバーがある。これもほぼ同じような位置に2つもいらない。スライド左中央付近には「P88 Made in」という刻印。国名が無いのである。自分で彫れとでもいうのか!?ということで結局「P88」という刻印以外はすべてパテを盛って消し去ってしまった。右側には「ASGK」の刻印も入っていたのだが、これも見苦しいので消してしまった。
上の写真はマズルのアップ。マズルは黒染めしてある金属製だ。このパーツは今回の見所の1つ。バレル先端とリコイルスプリングガイド先端の2つの丸が上下に並んでいる。この丸は黒染めのまま残し、その周りをフレーム同色に塗装した。黒染め部分は少々剥げているヶ所もあったが、キャロムの「ガンブルーペン」で補修。それ以外の場所はフレームと同じ色ながら、地が金属であるため、最高の質感が得られた。さらにもう1つの見所はグリップだ。実銃の資料が少ない中、想像で仕上げた部分だが、今回は初めてゴム製グリップの質感を再現してみた。メディコムのスーパー・ラバー・スプレーを使用した。塗装と同じように吹き付けることでゴムの手触りと質感が得られるというものだ。ただ、この塗料は塗膜が厚く仕上がるため、チェッカー部分に吹き付けるとシャープなチェッカーではなくなってしまう。そこで、チェッカー部とラバー部で塗装の方法を変えてみた。チェッカー部はブラック・パーカーを吹いた後、艶消しクリアーでコーティング。何度も握っているうちにポロポロ剥げてくるのを防ぐためだ。その周りのラバー部はシャーシー・ブラックを吹いた後、スーパー・ラバー・スプレーを塗った。これで違和感無くグリップ全体がゴムっぽい質感になった。
チャンバー部はステンレス・シルバーにしてみた。何かアクセントが欲しかったのだ。セーフティのところにも”S”や”F”等の刻印は無く、このまますべてメタル・パーカー1色にしてしまうと今1つリアル感に欠ける。そこで明るめの1色を追加することにしたのだ。幸い、完成後に眺めてみてもこれがよく活かされていて引き締まって見えた。その下にあるディスアッセンブリーレバー等のモールド群とのマッチングも良好だ。ただ、お約束の左右張り合わせのためのど真ん中のラインはしっかり残っているし、HOP調整の穴も露骨に開けられている。エアガンとしての機能は残しておきたいので、これを消す訳にはいかない。アクセントの部分だけに実に惜しいところだ。この部分だけでも別パーツにしていてくれてればHOP穴だけで済んだのに・・・と思ってしまうが、時代が時代だけに仕方ない。撃ってなんぼのエアガンだ。
モールド群。グリップ角に覆い被さるように付いているのはセーフティレバー。これだけは金属製の別パーツ。実際に作動する。色合いが違ってしまうのでセーフティ・レバーも同色に塗装しようかと思ったのだが、そうすると今度はグリップとの色合いがおかしくなる。結局黒染めのまま取り付けることにした。が、結果的にはこれで正解だったようだ。グリップの黒とフレームのメタル色の丁度中間色のような色合いで、うまく溶け込んでいる。グリップとの折り重なるような独特の組み合わせのパーツだけに自然に存在していて欲しい。理想の色合いである。トリガーやハンマーも黒染めのまま。そこに統一感も生まれる。なかなか良い眺めだ。しかし、このセーフティ・レバー、かなり動きが渋い。「ギュゥ〜ッ!!」と力を入れてなんとか動かせる感じだ。塗装をしたからではなく、もともとそんな感じの作動だったのだ。もう少しスムーズにできないものかと思う・・・。
例によってサイレンサーは実際に効果を発揮するよう、消音材を組み込んである。SASの中でも大型であるためにバレル長が長く、もっとも効果が大きい。小型のシリーズでもパチャッ!!という発射音がポスッ!!という音に変わったが、P88ではホスッ!!というすかし屁のような(例えが悪くて失礼)発射音だ。また、取り付けた姿は銃の大きさに対してサイレンサーの大きさが丁度良く、とてもバランスのよい姿だ。これなら撃っていてかっこいい銃に見えるハズだ。サイレンサー自体は他のSASの付属品と共通だ。どれを買っても同じサイレンサーが付いてくる。銃の大きさやデザインで取り付けてかっこいいかどうかが決まるということだ。ちなみに、これも例によっての話だが、サイレンサーを取り付けるとサイトが隠れてしまうので、まったく狙えなくなります。いつものことなので今さらどうのこうの言うつもりはありませんが・・・。
こうして出来上がったP88。なかなかかっこ良くなりました。グリップの工夫が実際に握った感触に大きく貢献していて、太いグリップでありながら意外と握り易くなっています。見た目にもゴムっぽい質感をうまく再現できました。お値段も小型のシリーズと変わらない安価な銃で、お買い得感が高い製品です。また再販してくれるのを楽しみにしたいと思います。マイナー銃が甦るのはとても嬉しいものですから。誰も持っていないモデルがリアルに仕上がり、飾ってあるとなぜかとても良い銃に見えてくるから不思議なものです。このP88はまさにそんな1挺です。 (2006.08.06)
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