PPKといえば007。007といえばPPKという程ジェームス・ボンドに愛され続けたワルサーPPK。歴史は古く、第2次大戦時にはすでにドイツ軍将校たちに使用されていた。007シリーズでは第1作「ドクター・ノオ」でそれまで使用してきたとされるベレッタから持ち替えてPPKを使い始めた。それから歴代ジェームスは第18作「トゥモロー・ネバー・ダイ」までPPKを使用してきた(8作目「死ぬのは奴らだ」ではロジャー・ムーアに代わったボンドがなぜかリボルバーを使っていたり、11作目「ムーンレイカー」ではPPKを持ってはいるものの、1度も使わなかったりしたが・・・。)。ボンドカーやボンドガールと呼ばれる華やかなクルマや美女たちとともにジェームスの活躍の場にはいつもPPKが存在していた。007ファンなら誰もが憧れる拳銃、それがPPKなのだ。が、今回、紹介するPPKはジェームスが持っていたPPKとは微妙に違う。”/S”が付くのだ。PPK/Sはアメリカの銃規制によってその寸法上PPKを輸出できなくなったことで、急遽開発したグリップの長いモデルなのだ。つまり、PPKとPPK/Sはフレームが違うのだ。しかし、現在ではモデル化されているのはほとんどPPK/Sの方で、かろうじてマルシン社の「シークレット・エージェント・シリーズ」にPPKがラインナップされている。が、現在、生産は止まっており、次回生産は未定。よって、入手困難ということだ。ということはPPK/Sしか入手できないのだ。
さて、今回は初めて”モデルガン”を紹介する。モデルガンはBB弾は発射できない。薬莢型のカートリッジに火薬を詰めて、それを発火させて実銃の撃ち味やブローバックの反動を楽しむものだ。「雰囲気だけなのか?」と言われれば「その通りだ」としか言えない。が、その雰囲気がとても大切なのだ。エアガンでは味わえない「パァーンッ!!」という火薬の発火音とバレルから立ち上る煙、手首をガツンッと襲うリコイル等独特の味がある。発火後の火薬のにおいもさらに気分を盛り上げてくれる。モデルガンとはそういうものなのだ。モデルガンは火薬の爆発によって作動する機械であり、その衝撃は撃っている人間よりも銃本体の各部に相当なダメージを与える。したがって、メンテナンスはエアガン以上にしっかり行う必要がある。カートリッジは発火後は必ず水洗い、チャンバーやバレル内も火薬による酸化を防ぐ為にしっかり洗浄しなければならない。発火させる度にこれを行わなければならないし、衝撃による部品の劣化から各部品の小さな破損も見逃さずに点検し、発見した場合には交換が必要になる。「なんと面倒な・・・」と思うだろう。しかし、そういう作業も含めて楽しめる者だけがモデルガンの世界を堪能できるのだ。
なぜ今回は初めてモデルガンに手を出したのか・・・。実は以前から1度手にしてみたいとは思っていたのだ。エアガンでは味わえない独特の世界もゼヒ試してみたい・・・1年くらい前からだろうか。そんなふうに思っていたのだ。ここに来て、珍銃やバカ銃といったネタが無くなってきたことと、ブルーイングというのを1度チャレンジしてみたいという理由からモデルガンの購入を決めたのだ。ブルーイングはヘビーウエイト樹脂製でなければ出来ないカスタムであり、通常のABS樹脂製のモデルガンやエアガンではできない。だからヘビーウエイト製モデルガンでなければならなかったのだ。モデルガンメーカーはエアガン程多くはないが多数存在する。その中でも私の好きなメーカーであるマルシン社は同じモデルで完成品と組み立てキットの両方を発売している。この「組み立てキット」にとても惹かれた。その組み立てキットの中で、現在販売されているものから選ぶことにする。このインプレにもあるM1910にしようと思ったのだが現在、生産されていないらしい。そこでPPK/Sにしたのだ。早速、ケイ・ホビーに在庫確認。しかし、「シルバーならあります。」という返事。シルバーモデルはABS樹脂製なので却下。すると「完成品なら新品同様品でヘビーウエイト製のがあります。」というなんとも微妙な返事が返ってきた。”お取り置き”をしておいてもらい、後日ケイ・ホビーに向かった。カウンターの上に置かれた箱はまさに新品そのもので、開けてみても本当に新品のクオリティのPPK/Sがすっぽり収まっていた。未発火だし、ほとんどいじった形跡もない状態で、新品と言われてもそのまま納得できそうな状態だった。即決だった。
いよいよブルーイングにチャレンジである。そもそもブルーイングとは塗装ではない。もともとは金属の表面処理の方法の1つで、拳銃では火薬を使って弾を飛ばす関係上、どうしても酸化してサビが発生する。それを防ぐ為に始められた表面処理がブルーイングということだ。これはその処理を行うと、表面が黒っぽい深みのあるブルーに変色することからその色を磨き上げ、美しく保つことでサビ止めと美の共存ができたということだ。前述のように、普通のABS樹脂ではこのブルーイングはできない。ヘビーウエイト樹脂には重量を重くするために、ABS樹脂の中に金属粉を練り込んで成型してある。その金属粉を表面に出して、それを染めることで金属に処理を施したようなブルーが再現できるというしくみだ。だからブルーイングは塗装ではないのだ。化学反応というべきだろう。さて、ブルーイングとは結論から言うと、磨き8割染め2割の労力だ。そして初めてのブルーイングは結構難しい。私もこのPPK/Sで最初失敗した。おかげでスライドの刻印がほとんど消えてしまった。磨き不足が原因だ。まったく艶の無いどす黒い色合いになってしまい、何をどうしてもどうにもならなくなってしまったのだ。数日後、気を取り直してふたたびチャレンジ。まずは失敗した表面を完全に削り落とす。
ひと皮剥けたPPK/Sをあらためて荒い耐水ペーパーで磨く。320番で磨いていくと表面に銀色の粒が出始める。全体にその粒が出るまで磨き続ける。次に600番に代えてさらに磨く。表面の粗めが細かくなってきたらさらに1000番に代えて磨く。ここまで磨くと表面はかなり金属っぽい質感になってくる。表面に現れた金属粉が周りの樹脂を覆い、平らになってくる為に樹脂の部分が見えなくなってくるのだ。最後に真鍮ブラシで磨いた表面をさらに磨き上げる。すると真鍮の金色が表面に移り、全体がほのかに金色を帯びた金属色になる。この作業をしばらく続けると顔が写るくらいピカピカになってくる。これで下準備は完了だ。もともとのザラザラしたヘビーウエイト独特の質感はもはやまったく無い。どこからどう見ても金属の塊にしか見えない。この状態になるまでには数時間はかかる。その間、丹念に、入念にひたすら磨き続けるのだ。とにかく目指すのは鏡面だ。ピッカピカの鏡面になるまでとことん磨く。それだけだ。ここを疎かにしてしまった為に失敗したのだ。今回は入念すぎるくらいに磨き上げた。難しいのは丸みを帯びた部分。平らな面は耐水ペーパーを机に貼り付けてそれに擦りつければ平らに仕上がるが、曲面はそうはいかない。形を崩さないよう確認しながら磨くとおのずと時間がかかってしまう。
さて、下地処理が終わったらいよいよ染めの作業だ。ブルーイング液とプラの使い捨てコップ、筆(金属を使っていないもの)、真鍮ブラシを用意する。ここからは時間との勝負だ。てきぱきやらないと染め上がりにムラが出る。液をコップに少量取る。最初の失敗の時はステンレスの塗料皿に取ったら皿が染まってしまった。取った液に筆を浸して液を銃に乗せていく。これは塗装ではないのでポンポンと乗せる感じだ。素早く全体に液を乗せる。乗せたところから見る見る黒く染まっていく。だから急がないとムラになってしまうのだ。全体に液を乗せたらそのまま放置。しばらくするとジワジワと乾いてくる。ある程度乾いてきたら水洗い。ザブザブと洗って液を取り除く。するとさっきまで鏡面のようにピカピカだった表面は真っ黒でしかもまったく艶がなくなる。完全乾燥したら白い粉を吹いたようになる。次に荒くなった表面をふたたび真鍮ブラシで磨き上げる。すると青みがかった鏡面がすぐに現れる。全体に磨いたら鮮やかなブルーの鏡面になる。で、また液を乗せて乾燥。水洗い、乾燥、磨きと同じ作業の繰り返し。4〜5回繰り返すと液を乗せた時に液がはじかれるようになる。こうなったら染めの作業は完了だ。最後に水洗いして乾かし、磨くと深みのある美しいブルーになっているという訳だ。画像でも解かる通り、艶のある表面に仕上がった。
今回はスライド、フレームの2パーツを染めたが、スライドは1度失敗しているので刻印が消えてしまった。しかし、モデルガンのスライドは消耗品だ。発火を重ねていくとそのうちヒビが入ったり割れたりする。そうなったら新しく部品を注文すればよい。だから今回は初めてのブルーイングで失敗したという「武勇伝」ということでこのまま組み立てた。
そして待ちに待った発火だ。モデルガンのマニアの方々は発火用と装飾用に2挺買うらしいが、私は惜しげもなく発火する。カートリッジの中に5mmキャップ火薬を込める。準備のできたカートリッジをマガジンに装填していく。全部で8発だ。マガジンを銃に挿入し、スライドを引く。ハンマーが起き、第1弾目がチャンバーに装填される。まるで実銃の雰囲気だ。「これがモデルガンの醍醐味か!?」シビれた。弾は飛ばないが一応サイトを狙って構える。恐る恐るトリガーを引くと・・・「パカンッ!!」これまでエアガンでは味わったことの無い火薬の爆発音とその手首に伝わる反動がエアガンとはまったく別世界のものだとあらためて気付かされる。「す、すごい!!たまらん!!」ブローバックと同時に発火済みのカートリッジは勢い良く飛び出す。床に落ちたカートリッジはクルクルと回転しながら転がっていく。さらに撃つ。激しい反動と銃口から立ち上る煙、排莢されたカートリッジの勢いとモデルガンのすばらしさをこの8発で充分に堪能することができた。世間での評判を聞くと、マルシン社製モデルガンはかなり優秀らしい。他社では全弾撃てないとか作動が不安定とかいろいろな情報を耳にする。しかし今回のこのPPK/Sはマルシン製。やはり問題無く作動してくれてとても優秀な印象を持った。しょっちゅう買う訳にはいかないが、たまにはモデルガン作りも良いものである。
こうなると次回の購入の際はぜひとも組み立てキットを購入したい。1から自分の手で作り上げる喜びを味わいたいものである。ちなみにケイ・ホビーの店長くん曰くこのPPK/Sはモデルガン入門用には最適だそうである。これから買ってみたいという方にはお勧めの1挺だ。私も正直、このPPK/Sはとても気に入ってしまった。大切にしていきたい銃になった。枠に捕らわれずにエアガンもモデルガンも良いものは良いということを思い知らされた。気分はすっかりジェームス・ボンドだ。
My name is Bond. James Bond.
2006.08.11)
ふと気付く。全弾撃ち終わった時、スライドストップがかからない。カートリッジを装填せずにカチャカチャいじっていた時にはまったく気付かずにいたが、考えてみれば、ショートリコイルしないストレートブローバック方式の激発機構であり、スライドストップ解除のレバーも無い。ということは、マガジンが空の状態でスライドを引けばスライドストップがかかり、止まらなければならないのだ。なのに普通にスライドを引いて手を放すとカチャッ!!と戻り、普通にトリガーが引けていた。まったくおかしいとも思わずに遊んでいたのだ。ようやくそのことに気付き、原因を探る。空のマガジンを挿入したままスライドを引き、チャンバー内を覗く。するとカートリッジを押し上げるばねの上にあるフロアーと呼ばれる金属製のプレートの右角にスライドストップをかける為のアーム「エジェクター」の爪が引っかかり、その爪によってエジェクターを持ち上げてスライドをストップさせる構造になっていた。エアガンと基本的には同じしくみだ。が、その爪がフロアーに当たるのにエジェクターがしっかり持ち上がらない。マガジンを動かしてみるとカタカタと大きく遊ぶ。その動きに合わせてエジェクターも上下に動く。どうやらマガジンの固定がしっかりしていない為にエジェクターを押し上げることが出来ないらしい。
マガジンを抜いて、スライドを外してみると、マガジンの通る通路の中にマガジンキャッチのでっぱりが見える。マガジンキャッチを押してみるとでっぱりは引っ込む。放すと出てくる。しかし明らかにそのでっぱりは小さい。グリップを外してよく見てみるとマガジンの切りかき部分に僅かに接して止まっている状態だ。装着したマガジンを下から押してみると1mm以上持ち上がる。同時にエジェクターも同量持ち上がる。さらにマガジンを前後方向に動かしてみると、こちらも1mm以上前後に動く。左右方向はほぼ動かない。マガジンの大きさに対し、挿入孔が大きすぎるのだ。そして、マガジンキャッチも引っかかる位置が悪く、固定したマガジンが僅かに下がってしまう。この2つの原因によってスライドストップがかからなかったのだ。事実、マガジンを下から押さえつけるようにして固定させ、スライドを引くとスライドはしっかり止まる。また、マガジンを前方に押さえてやってもスライドは止まる。つまり、装着したマガジンがもっと前に、上に固定できれば解決するということだ。
さらに気付いたことがある。スライドの前の方を持って引くとスライドストップのかかりが悪い。スライド後方をフレームに押さえつけるようにしながら引くと止まる。スライドの動くレールの部分にもガタがあるようだ。スライドには引いた時点でハンマーのスプリングによって押し上げられるようにテンションがかかる。だからレールにガタがあればスライド本体が浮き上がってしまうのだ。これら一連の調整を行っていくことにする。
上の画像は対処した後の状態。上の画像のマガジンの背中が当たる部分の金属パーツ「フレーム・スペーサー」にマガジンとの隙間分の厚みの金属板を取り付けて、前後方向のガタを無くしてやることにする。幸い、クルマ屋というところにはさまざまな金属製部品の残骸がある。さっそくシックネスゲージを使って、この隙間の寸法を計測し、その寸法に近い厚さの金属板を探し出す。切って削ればどうにでもなるので大きさはどうでも良い。とにかく厚みの近いものを探す。計測してみて解かったのだが、フレーム・スペーサーの下部分と上部分では隙間の幅が違う。上に行く程、隙間は小さくなっていた。そこで、厚みの違う2枚の金属板を探し出す。下部分に取り付ける板はほぼ同じ厚みの板を発見できた。上部分に取り付ける板は少し薄めのものしか見つからない。そこで少し考えてみる。板を挟めば前方向にマガジンを押し付ける格好になり、ガタつきは治まる。しかし、上方向に押さえるにはどうしたら良いか・・・。
私が出した答えはこうだ。上部分に貼り付ける金属板の中央に裏からポンチで叩いて出っ張りを作る。マガジンの背中部分のその出っ張りが当たる部分を少しへこませてやる。これが位置的にうまく合えばこの凹凸のかみ合わせによって上方向に押し上げることができる。マガジン内を上下するフロアーの動きに影響を与えない程度にへこませるのがポイントだ。このかみ合わせをわざと少しずらすことでマガジンに上方向への力を与えようということだ。金属板をフレーム・スペーサーの幅以内の大きさに切り取る。私は余裕を見て左右に1mm程の余裕を持たせるような大きさにした。この板を止めるのは瞬間接着剤とビスの2重固定だ。ビスは皿ビスとし、板にも皿ビスに合う形にくぼませた。しかしツライチにはならないので、しっかり締めた後、頭を削り、ツライチにする。これでしっかり固定でき、マガジンの挿入にも影響は与えない。上部分に貼り付ける板は小さいので接着のみにする。板を貼り付けるフレーム・スペーサーの貼り付け面は黒染めを削り落とし、接着剤の食いつきを良くする。貼り付ける板の裏面も同様だ。瞬間接着剤はたっぷりつけ、しっかり固定する。
ビスはあまり長すぎるとフレーム・スペーサーを突き抜けてハンマースプリングに干渉してしまう。適度な長さのビスを使うか先端を切り取って長さを調整するしかない。私は長いビスを切って使用した。こうして2枚の金属板を貼り付けることによってマガジンのガタは一切無くなった。さて、この状態で組み立てて、スライドを引いてみると、かなりの確率でスライドストップがかかるようになった。しかし、パーフェクトではない。さらに見ていくことにする。スライドをフレームに押さえつけるようにして引くと確実にスライドストップがかかる。横から見ながらやってみると、スライドがハンマーの力によって押し上げられており、その影響でエジェクターが引っかからないことがあるのだ。このスライドの持ち上がりはほんの0.数mm。フレーム側のレール部に瞬間接着剤を盛ってスライドが持ち上がらないくらいまで下げてやった。最初はスライドの動きが渋かったが、何度か動かしているうちにスムーズになった。これを行って、ほぼパーフェクトにスライドストップがかかるようになった。
調整の終わったPPK/S。マガジンとフレーム・スペーサーの間に板が貼ってあるのが見えます。これだけですごくカッチリしたマガジンの装着具合です。スライドもいかにもフレームに押さえつけている感じで塊感がでました。それまでは左右にカタカタ振れていたスライド。かなり振れが無くなりました。モデルガンではこのような調整を行って、初めて快適な作動が得られるのです。そのごく1部が今回のような作業なのです。モデルガンは発火を楽しむものというのが基本ではありますが、その発火を快調に作動させるまでのさまざまな考察や工作、調整をも楽しむことができない限り、モデルガンの真の楽しさは得られない。逆に言えばそのような加工技術が無いと快調なモデルガンを手にすることはできないということである。メーカー側も良い商品を作ろうという努力は日々されているが、モデルガンの作動はパワーソースが火薬という強い衝撃をもたらすものであるので、各部品の変形や亀裂、折損等の症状は必ず起こる。とくに実弾を撃ち出せるように改造することが実際に出来てしまう構造のため、あえて強度を落として作ることでそのような犯罪を防止する意味合いも含んでいる。
これからモデルガンを楽しんでみようと思っている人は、ゼヒ、発火させる楽しみの前に作ることを楽しめるようになっていて欲しい。でないと簡単に挫折することになってしまう。現在でも製造されているモデルガンなら工作に失敗しても部品の注文はできるが、すでに絶版になっているものやメーカーが無くなっている(倒産や吸収合併等)こともある。このあたりも気をつけなければならない。1から作ることができるマルシン社の組み立てキットはとても魅力的な商品だ。すべての部品がバラけて梱包されており、説明書通りに組み立てていく。この間にも調整等の加工が必要になる訳で、組みあがっているものをバラして調整するより、最初からバラけてるもので調整できる方がやりやすい。私も希望通りに購入できれば今回はキットで購入するハズだったのだが、無かったのでしかたがない。次回、機会があれば組み立てキットを購入したいと思っている。 (2006.08.13)
自作木製グリップを製作しています。別の目的で某大型ホームセンターに行った際、ブローニング・ハイパワーのページに紹介したニスを購入し、その際に同時購入した木材を使用して製作しております。右の写真は左右のグリップのカタチに切った状態(右)とそれを削り出した状態(左)。削りだしには独特の彫刻刀(ウッドカービングというらしい)を使用しました。木目がどの向きに向いて、どういう位置に現れるのが一番美しいかで型を取る場所を選び、切り出しました。切り出したグリップは裏面から彫り始めます。PPK/Sの純正グリップの裏面には金属製のウエイトがはまり込んでおり、ガン全体の重量を稼いでいます。このウエイトがうまく収まるように彫り込んでいきます。今回使用した彫刻刀は実によく切れるもので、硬い素材を選んだにもかかわらず、サクサクと削れていきます。今回選んだ素材は「桂」の木です。さまざまな種類の木材があったのですが、グリップに使用する素材には硬い木が適しています。さらに木目がはっきり付いているものが適しています。売り場で触ってみたり軽く叩いてみたりして、一番硬そうと思われる木が桂だったのです。その中でも木目がはっきり現れているものを探して購入しました。ハガキサイズで厚さは約1Cm。¥135−也。
彫り終えた裏面(左)とスジ彫り状態(右)の画像。彫り終えた状態を見ると、意外と複雑なカタチであることが解かりますね。これをすべて手彫りで彫るのです。木彫りは力加減を間違えると命取りとなります。彫ってはいけないところを勢いで彫ってしまうからです。彫りすぎないよううまくコントロールして作業をすすめます。上部の丸い穴はドリルを使いました。これもドリル刃を手で回して徐々に彫っていきます。電動で彫ると彫りすぎてしまうからです。純正のプラグリップの形状を採寸し、同寸に彫っていくのですが、木は気温や湿度で膨らんだり縮んだりします。ですから、夏である今回の作業では僅かに大きめに彫っておきました。冬の寒い時期に縮んでひび割れるのを防ぐためです。おおよそ彫れたらウエイトを入れてはまり具合を確認し、彫れてないところをまた削るという作業の繰り返しです。ぴったり合った瞬間の達成感はたまりません。とてつもない地道な作業の連続です。しかも同じことを左右の合計2枚やらなければなりません。気が遠くなるような作業です。
表の出来上がりです。1Cmの厚さの木材を半分の厚さまで削り落とします。短刀で角からガンガン切り出していき、おおまかにカタチを整えていきます。握った時に親指と人差し指が当たる部分はくぼみを付け、握りやすくしてあります。短刀で削った状態から木工ヤスリで荒く整えます。ここで削りすぎた部分や削り足りない部分が確認できます。ふたたび削ってまたヤスリ・・・繰り返してカタチになっていきます。最後に紙ヤスリで全体を磨き上げます。180番という粗さの紙ヤスリで全体が丸くなるまで擦り続けます。とくにくぼみの部分は刃跡が残りやすいのでしつこく磨きます。グリップに使用する木材は硬いので紙ヤスリがクシャクシャになるまで磨いてもまだ完全に丸くはなりません。何枚もの紙ヤスリを取り替えて磨き続けます。出来上がるととても美しい木目が現れ、表面はとても滑らかで、とても素人の工作とは思えない出来栄えでした。絶妙な丸みがとても握りやすく、作った甲斐がありました。
横からの画像です。とても美しい木目でしょ?ふっくらと盛り上がった有機的なフォルムが芸術作品のようです。たかがモデルガンのグリップなんですけどね・・・。今回は初めての自作木製グリップということで、ヘタなチェッカリング等の加工はしません。スベスベのこの状態のままにします。せっかくここまでウマくできたのに、余計なことをして台無しにしてしまうのはあまりにも悲しいので。左右ともこんな感じに仕上げたのですが、私なりのひと工夫をしてあります。左右のグリップでくぼみのつけ方を変えてあります。左側には親指が乗りますので、親指が自然に乗せられる位置をくぼませて、右側は人差し指の付け根が当たる部分を、トリガーを引く動作に違和感が出ないような形状にくぼませてあります。左右で見比べてみるととても微妙ですが、これがけっこう大事だったりします。実際に握る者が心地よく握れるグリップというのは飽きが来ないものですし、愛着も湧いてきます。
最後の仕上げにニスを塗ります。今回はウォールナット風の仕上がりになるニスを選びました。薄くひと塗りで乾燥させ、様子を見ます。このウォールナット色のニスは前回、ブローニング・ハイパワーの時に使用したマホガニー色と違ってあまり艶が出ません。2度目でやっと艶が出る感じです。マホガニーの時は1発目からテッカテカになったので、今回も当然そうなるものと思っていたのですが、肩透かしをくらいました。結局2度塗りで思っていた色艶が現れたのでこれで完成となりました。なんとも素敵な風合いのウォールナット仕上げに作った私自身、惚れ惚れしてしまいました。なんだかちょっとウエスタンっぽくもあり、長年愛用してきた使用感みたいなものも感じられ、すばらしい仕上がりです。あとはPPK/S本体に取り付けるだけなのですが、分厚い木製グリップになったことで、純正グリップを止めているビスが使えません。近々、長いビスを入手して取り付けたいと思います。純正ビスで止められるくらいにまでビス穴を掘ってしまうとパキッ!!と悲しい音がしそうなので・・・。取り付けたらまた画像をUPします。お楽しみに。 (2006.08.23)
ついにいちおうの完成を見ることができました。黒光りしたPPKに木製グリップ。モデルガンの醍醐味をすべて味わうことができたPPK/S。幾度の危機を乗り越え、試練に耐え抜き、持久力との勝負に打ち勝ち、ようやく手に入れた完成形です。初めてずくしの作業でしたが、やれば出来ることが解かりました。始めは練習用にと購入したPPK/Sでしたが、なんの、立派に鑑賞に耐えるすばらしい1挺となりました。「作る楽しみ」をあらためて実感させられました。エアガンでは基本的に「撃つ楽しみ」と「当てる楽しみ」、モデルガンでは「作る楽しみ」と「味わう喜び」と言った感じでしょうか。少し大人の遊びといった感じです。真性のマニアの方がいらっしゃるというモデルガンの世界が少し理解できたように思います。これだけリアルに仕上がればガラスケースに何十挺も飾っている方の気持ちがよく解かります。ワインやブランデーを片手にソファでくつろぎながらじっくりと味わう銃の美しさ・・・。「男のジュエリー」とでも言うべき趣味ですね。
先日から製作していた木製グリップを取り付けました。結局、グリップ取り付け用のビスは5mm延長の30mm長のビスがジャストフィットでした。さすがに頭がマイナスのねじは市販されてはいなかったので普通のプラスねじとナットを使って止めてあります。このあたりは正直、なんとかしたいところですが、ねじ1本を特注で作ってもらう訳にもいかず、ナットとねじの頭を艶消し黒に塗って目立たなくしておきました。グリップの形状はひとまわり太くなったのですが、握ってみるととてもしっくりと手に馴染み、自分だけのオリジナルグリップであることにあらためて喜びを覚えます。ウォールナットの質感もバッチリ似合っていて、いつも身に付けている財布やライター、携帯電話等と同じような「出かける時の必需品」のように感じてしまいます。実際に持ち出すことはありませんが・・・。ジャケットの下に隠したショルダーホルスターに収まり、戦う時を待つ・・・そんな「すぐにでも戦える」状態に見えます。
PPK/Sという銃はもともとデザインがとても流麗で機能的にも大変優れた名銃です。ワルサー社のラインナップに現在でもバリバリ現役で存在します。第2次大戦以前のモデルだけにこれだけ長い間生産し続けられてきた理由がその辺にあるのです。カートリッジ(弾薬)がチャンバーに装填されている状態を射手に知らせるカートインジケーター等、当時のワルサー社の発想は群を抜いており、この構造は現在でも同社のP99シリーズにしっかり受け継がれています。当時のドイツの銃器メーカーは他国のメーカーを遥かに凌ぐ先進技術を持っており、革新的な構造を持つ銃がたくさんあります。中でもワルサー社はさまざまな構造を試みて、それをいくつも実用化してきました。そんな歴史がこのPPK/Sから僅かながら窺い知ることができます。このモデルガンをバラして組み立ててを繰り返していても「よくあの時代にこれだけのことが思いつくものだ」と感心させられます。
マルシン社のモデルガン「ワルサーPPK/S HW」は完成品で定価¥11550−、組み立てキットは¥8400−です。これだけ楽しめて、これだけリアルに仕上がるモデルガンがこの定価で発売されていることがとても信じられません。組み立てキットを購入すれば実売価格¥7000−台で新品が購入できます。完成品を購入しても調整等で結局数回はバラすことになるのですから組み立てキットがいかにお得かがよく解かります。次回、マルシン社製モデルガンを購入する際は必ず組み立てキットを買うことになるでしょう。今回はたまたま完成品を入手しましたが、しくみや作動を理解する上ではバラして組むということでとても勉強になりました。次は最初からバラけた状態から組み立てていくことで、応用力を身につけたいと思います。しかし、これだけ楽しめるモデルガンが今やエアガンに押され、売れない商品となっている現実がとても悲しいです。現代では何でも完成した製品ばかりです。例えば食玩。塗総済みは当たり前、完成品の状態で売られているものがほとんどで、組み立て式であっても数個のパーツをはめ込むだけという手軽さ。それはそれで良いですが、自分の手で作り上げる楽しみという部分が忘れ去られてしまっているような気がします。
今も販売されているのか定かではありませんが、昔、東京マルイ社から「作るモデルガン」シリーズというのが発売されていました。定価も¥2000−台くらいだったと思います。プラモデルのようなキットで、ランナーから部品を切り取り、付属のABS専用接着剤で部品を接着し、組み立てます。現代のリアルなエアガンやモデルガンと比べれば時代と低価格を感じる仕上がりでしょうが、とても楽しい製品でした。コルト パイソンやワルサー P38等有名どころの銃がラインナップされていて完成したら通常のモデルガン同様、火薬を込めて発火させることができます。あのシリーズを組み立ててリアルに塗装して仕上げるというのも面白そうです。これだと本格的なモデルガンよりはるかに安く気軽に楽しめます。今度探してみようと思います。
話は戻ってマルシン社製モデルガン ワルサー PPK/S。楽しく作れて完成後も快調に作動し、見栄えもリアルで他社製品より安い。とても良い製品だと思います。これからモデルガンを購入してみようと思っている方にはおすすめのシリーズです。
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