第2次大戦以前からドイツ軍の偵察任務等で活躍していた4輪装甲車Sd.Kfz.222。独特の面構成の車体とかえるのような可愛らしいヘッドライトが特徴的な車輌です。現代のクルマの構造にも通じる画期的なシステムが多数取り入れられていた車輌でもあります。4WDは当然としても、まずモノコックボディ。フレーム構造がほとんどだった当時にすでにこの装甲車では現代のクルマでは当然であるモノコックボディをすでに使用していました。また、4輪操舵でもあり、シャーシーのレイアウトはこれまた独特の形状をしています。さらに4輪独立サスペンション。今で言う「ダブルウィッシュボーン」タイプのサスペンション構造を取り入れています。軍用車輌の中にあってはかなり良い乗り心地だったことでしょう。このように当時の最先端技術がふんだんに盛り込まれて生産された装甲車だったのです。
タミヤ製222はけっこう古く、1970年代初めには製品化されていました。今回、製作したのはその再販版で、砲塔上部の網がエッチングパーツ(金属製)になっている製品です。数ある軍用車輌の中でもかなり私の好みの車輌であり、再販を知った時点で即購入しました。キットは他の1/35 MM(ミリタリー・ミニチュア)シリーズの箱よりかなり小さめで、模型店に並んでいても目立たずひっそりと置かれています。この222は他社製品ではフジミ社から1/76スケールの製品が発売されています。地味ではありますが、どちらも息の長い製品です。密かな人気商品なのでしょうか。後程その1/76スケールのフジミ製222も登場し、比較させています。また、海外でもICMというメーカーから1/72スケールの222が発売されていますが、常時輸入されているわけではなく、運が良ければ入手できるという状態です。
では模型を見ていきます。正面の面構えはやはり「かえる」のようにギョロッとした丸型ヘッドライトが特徴的です。このヘッドライトはボディ両横のパネルから生えていて、アームが折れ曲がるように取り付けられています。分厚い装甲板に囲まれた運転席から小さな窓越しに見る眺めは視界が狭く運転し辛いのでしょう。フロントの左右のフェンダーにはコーナーポールが装備されています。サイドミラーは左のみで当時としては標準的な仕様です。バンパーはただの鉄棒ですが、[型に加工され、少々手の込んだ作りになっています。当時の軍用車は大抵一直線の鉄棒やU字鋼だったりしますが、222ではご覧のように角度を付けてあります。初期の頃はご覧のジャーマングレーで塗装された車輌が多かったようですが、その後、アフリカ戦線等ではダークイエローで塗装された車輌も登場し、そちらの方が有名だったりします。
リアにはエンジンが搭載されています(模型では再現されていません)。上部、左右のパネルには点検、整備用ハッチがあります。また、マフラーの形状がこれまた独特で、左右のパネルから生えたエキゾーストパイプは下へ向かい、さらに前方へ折れ曲がりタイコ(サイレンサー)に繋がっています。マフラー出口はリア左右のタイヤの裏側に隠されています。つまり、マフラーは前向きに付いています。右フェンダー上にはジャッキが固定されています。そのフェンダー前方にはジェリカンが左右に1つづつ備え付けられています。小さな車輌ですので車内に装備品を収めるスペースは無く、ほとんどの装備品はボディに背負うカタチで備え付けられています。真後ろの「鉄十字」マークが勇ましいですね。
どちらが前でもおかしくない感じのサイドビュー。左側の横っ腹には収納ケースが並んでいます。あらゆる装備品を収納して偵察任務に出かけたのでしょう。その上前方にはシャベルが備え付けられています。柄が少し飛び出しているあたりがちょっとかっこ良かったりします。この画像だと前述のマフラーの向きがよく解かりますね。とても不思議な構造です。ルーフの砲塔は回転します。中の機銃と一緒に回転します。さらに機銃だけは上下にも可動します。網の屋根を開けた状態で製作したのは、閉めた状態にすると機銃の上下動ができなくなってしまうから・・・。通常、私はドア等の開閉選択式の部分は必ず閉めるのですが、この222だけはこんな理由があるのでしかたないですね。ちなみに機銃の銃身はアルミ製の部品になっていてとてもリアルに再現されています。
右側。こちらの横っ腹にはスペアタイヤを抱えています。上品にカバーまで付いています。ふだんクルマの整備をしていて、この車輌を見るとここにスペアタイヤがあると、交換時の脱着がとても楽そうです。また、空気を入れるのも装着されているタイヤと同じ動きで入れられてとても合理的です。こんな何気ない部分にも「さすがドイツ人のこだわり」みたいなものを感じてしまいます。そのスペアタイヤのすぐ後、リアフェンダー前には消火器が取り付けられています。軍用車ならではの装備です。砲塔の網はエッチングパーツですのできめ細かい網目が再現されています。また、機銃も細かなモールドで非常にリアルです。今回は砲塔後ろ部分に自作のアンテナを立てました。プラ板とプラパイプで製作した土台に真鍮線で製作したアンテナを差し込んであります。
真上から。車内の様子がよく解かる画像です。基本的に車内色は白ですが、激しい戦場で活躍してきた車輌をイメージしてかなりキツめに汚してあります。奥にシートが見えますがこちらも汚してあります。無線機等の車内装備品も細かく塗り分けた後に汚しを施して使い込んだ感じを出してありますが残念ながら画像には写っていません・・・。ちなみに運転席はこの機銃のちょっと前にあります。ハンドルや計器類、シフトレバー等も付いていますがそれらも写っていません・・・。基本的に密閉される室内ではないので砂ぼこりやスス等はモロに侵入してくると思うのでキツめに汚した次第です。あまりにも小奇麗な車内だと軍用車らしくなくなってしまいます。しっかりと塗り分け、キレイに塗れてもキツめに汚すというのが陸の兵器の仕上げ方です。
砲塔の回転と機銃を上げてみました。可愛らしい外見とは裏腹にゴツくて頼もしい機銃です。このアンバランス加減が良い雰囲気です。この222のバリエーションで無線連絡機能を強化したSd.Kfz.223という車種がありますが、こちらは大きく四角い形に成型されたリング状のアンテナがボディ後半から砲塔前端辺りまで乗っており、この砲塔は取り外されています。キットは持っているのでそのうち製作しようとは思っていますが、これまた違った雰囲気があって良い感じです。が、より戦闘的な印象があるのはやはりこの222で、偵察だけではもったいないような気がします。とくにその走破性の高さを考えれば、一撃離脱の空中戦のような戦い方が陸でもできたような気がするのですが・・・そんなに甘いものではなかったのでしょうか・・・。
さて、おまけとして1/76スケールの同じ222、フジミ製モデルも紹介しておきます。こちらは機銃が固定だったのでルーフは閉めてあります。そして自作アンテナはそれぞれ違ったバリエーションで再現してあります。手前の車輌は左右各1本、計2本のアンテナ、奥の車輌は1/35で製作したのと同じ位置に1本です。どちらも土台を作り、真鍮線を差し込むという同じ方法で製作しましたが、アンテナだけでもけっこうイメージが違って見えるものです。それから、このフジミ製222はタイヤがスペアも含めてゴム製です。こちらもかなり古い設計のモデルですので、こういう小さいモデルでは当時は平均的な仕様だったのです。ちなみにこのフジミ製222ではシャベルが両側にモールドで再現されています。とても薄いので塗り分けがけっこう大変です。
さて、おまけの1/76スケールと並べてみました。これだけ大きさが違えば再現度も大きく異なって当然ですね。ただ、どちらもよく特徴が表現されていて模型としてはとても良いキットです。タミヤ製は当然としても、フジミ製1/76もこの小ささではよく出来ていると思います。細かいディテールは多少省略されてはいるものの、ちょっとしたカスタムでかなり見栄えのするモデルに仕上がります。こういう主役になり得ない車輌、私は大好物です。
(2008.05.29)
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